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王国騎士団長

 酒場につくと何やら人だかりができていた。


「なんだなんだ、ケンカか〜?」


 ケイウッド、お前は黙ってろ。

 人垣を割って入っていくと、その中心には見覚えのある人物がエールを片手に冒険者たちと話していた。

 歴戦の戦士然とした風格、ガルドだった。


「お、シュージ殿。待っていたぞ」


「先ほどぶりです」


 俺は仲間たちの手を引いてガルドのテーブルの席についた。

 だが、まわりを見るとどうにも冒険者の連中がガルドを囲っており、妙な心地がする。


「君たちがシュージ殿の仲間か」


 俺とネムリ以外の初対面の仲間の顔に視線をめぐらせてガルドは小さくうなずいた。


「うむ、良いパーティだな」


「オレはこのパーティのリーダー、盗賊のケイウッドさ」


「わしはドワーフ族の騎士、ベルナンディアじゃ。よろしくの」


「わたしはさっき仲間になったばかりですが、エルフ族のメルティエと申します。お見知りおきを」


 各々にあいさつをすると、今度はガルドが応えて、


「私はガルド・スワルド。冒険者の皆の力を借りたくてこの街にやってきた」


 簡潔な自己紹介に、しかしケイウッドもベルナンディアもメルティエもハトが豆鉄砲を食ったような顔になった。

 これはいったいどういうことだ?


「お、おいシュージ! なんでガルド・スワルドだって先に言わないんだよ!」


「ほう、ヌシがあのガルド・スワルドか。是非、一戦手合わせ願いたいものじゃのう」


 ケイウッドは慌てて俺に噛み付いてくるし、ベルナンディアはどこか剣呑な雰囲気を醸し始めた。

 わけがわからない。

 メルティエに助けを求めると彼女は困り顔で、


「シュージ、この方はアルヘルム王国の王国騎士団長、ガルド・スワルド様ですよ」


 ガルドの肩書きをきちんと説明してくれた。


「え……?」


 王国騎士団長?

 たしかこのイムネマも地理上はアルヘルム王国の領土だったはずだ。

 そして、王国騎士団長は数年に一度の闘技大会で優勝した者が抜擢される仕組みだったはず。

 つまり、いま目の前にいるガルドは王国随一の戦士、ということか?

 めちゃくちゃ強い人じゃないか!


「ガルドさん、いや、様、失礼しました!」


「いやいや、さん付けでも呼び捨てでも一向に構わんよ。私はこれでも平民出身だ。むしろかしこまられると対応に困ってしまう」


 はっはっは、と鷹揚に笑ってみせた。

 うむ、まじめなだけでなく、いい人なのも間違いないな。

 さすがは騎士団長になるほどの人だ。

 器の大きさを感じる。

 ガルドのまわりに人だかりができていた理由にも納得がいった。

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