表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/254

屈強な男ガルド・スワルド

 俺たちのすぐ横の湯船に入ってきた男は熱湯に小さくうなり声をあげ、肩までつかった。

 屈強な冒険者なら何かためになる話でも聞けるかもしれない。

 おなじ冒険者として顔を売っておくのも後々、役に立つかもしれないな。


「失礼ですが、冒険者の方ですか?」


 男はこちらに向き直った。

 居住まいを正して、こちらの様子をうかがうように観察してから、


「冒険者ではないが、似たような仕事をしている者だ」


 堅苦しい話し方に礼儀正しい性格が垣間見えた。


「そうでしたか。名乗り遅れました。俺はシュウジといいます。こっちはネムリ。ともに冒険者をしています」


「これは丁寧に。私の名はガルド・スワルド。冒険者ではないが騎士をしている、と言ったほうが正しいか」


 ガルドと名乗った男は盛り上がった筋肉といい、体中についた傷痕といい、歴戦の戦士としての風格を醸し出していた。


「ガルドさん、とよんでよろしいか。あなたは何をしにイムネマに? 冒険者でないのならクエストをこなしに来た、というわけではないですよね?」


 そう言うとガルドは俺とネムリの顔をじっくりと見つめ、


「ふむ、失礼だが貴殿らは駆け出しの冒険者、と見て間違いないか?」


 何か値踏みをされているような心地がする。

 ここは素直に答えたほうがいいだろう。


「はい、そのとおりです。俺らとあと二人、仲間がいて、昨日、初級者向けのストルフのダンジョンを攻略してきたところです」


「なるほど……」


 ガルドは少し考え込んだあと、意を決したようにこちらを見つめ直した。


「いや、失礼。私がこの街に来た目的に貴殿らが当てはまるかどうかを考えていたのだ」


「目的、ですか」


「ああ。私は王国、アルヘルム王国の王都から冒険者の募集を目的にやってきたのだ。もしよかったら貴殿らもこの依頼、クエストを受けてはくれないか?」


 じっと見つめる瞳にウソはなさそうだ。


「ありがたい申し出ですが、あいにくうちのパーティリーダーが不在なので決めかねます」


 いきなり舞い込んだクエストの依頼に面食らいつつ、次の金策にうってつけの話に俺は内心、喜んでいた。

 これはケイウッドを説得してでも受けたい話だ。

 俺はガルドに、あとで冒険者ギルドで他のパーティメンバーも加え、晩メシを食べながらでもくわしい話を聞かせてほしいとお願いした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ