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裸の出会い
「あ〜、気持ちいいな〜」
「うん〜、あったか〜い」
ネムリと俺は湯船につかり、目を細めた。
あたたかい湯は体のなかにたまった疲れとか悪いものを溶かして体外に排出する効果があるように感じる。
やはり風呂はいい。実にいい。
宿でダウンしている酔っ払いどもにもあとですすめてやろう。
俺とネムリがくつろいでいると入り口のトビラが開く音がした。
その誰かは掛け湯をしたのだろう、ザバーと湯の流れる音がしてこちらに近寄ってくる影が湯気のなかに見えた。
「ネムリ、こっちおいで」
「先客がいたか。これは失礼。ご一緒してもよろしいか?」
「もちろんですよ」
その影はしだいに隆々とした筋肉を浮かび上がらせた。
俺たちのすぐとなりの湯につかった男の体は古傷だらけだった。
ひと目で冒険者、それも相当なレベルの熟練者であることをうかがわせた。