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加速スキル
オーガとベルナンディアの豪快な殴り合いに、俺とケイウッドは気圧されていた。
加勢しようにも下手に近づくとベルナンディアの邪魔になりかねない。
「ケイウッド、何か助けになるスキルはないか?」
道中にゴブリンを退治したことで俺もケイウッドもわずかながらレベルが上がっていた。
「そ、そうだな」
ケイウッドは少し思案すると額の前に握りこぶしをかざして、
「《加速》!」
ケイウッドと俺の体を黄色い光が取り巻き、頭から足にかけて無数の光の粒子が回転し、吸収されるように溶けて消えた。
うっすらと黄色く発光する体はふだんよりも身軽で今にも走り出したい衝動がわき起こる。
これなら邪魔にならずにベルナンディアに加勢することができるかもしれない。
俺はこん棒からナイフに武器を持ち替え、ケイウッドとともにオーガへ向かって走り出した。