乱戦
「うおおおおぉ!」
ゴブリンの楯に一撃を入れてから体を回転させて横腹にこん棒を叩き込む。
吹き飛ぶゴブリンと入れ違いに次のゴブリンが大ぶりの攻撃を直上からくり出す。
とっさに木製楯を構え、両腕で衝撃に耐えた。
その隙に新たなゴブリンががら空きになった俺の腹にこん棒をぶち込む。
「ぐほぁ……!」
俺の体は吹き飛ばされ、地面にしたたかに叩きつけられた。
「シュージ!」
「俺は大丈夫だ! 自分の敵に集中しろ!」
《無限の宝庫》から薬草水を取り出し、急いで飲み干す。
腹に走っていた激痛が消える。
俺は立ち上がり、向かってくるゴブリンに対峙した。
戦局は混乱していた。
そもそもこちらの絶対数が少ないため混戦にならざるを得なかった。
ベルナンディアがゴブリン2体を片付けたらオーガの相手をする。
残りのゴブリン3体は俺が引き付けてなんとか対処する、という作戦もへったくれもない戦い方だった。
だが、敵に囚われている子どもがいる以上、人質を無視するような戦い方はできなかった。
残りのゴブリンは2体。
数の上で単純に不利だ。
ベルナンディアもオーガとの力比べで俺に加勢している余裕はない。
ここはケイウッドを信じてこらえるしかない。
ゴブリンがふりかざしたこん棒をよく観察し、こちらのこん棒で受け流しながら顔面にフルスイングを見舞ってやった。
残り1体!
そのとき、ケイウッドの声が広間に響きわたった。
「みんな、子どもは助けた! いまからオレも参戦する!」