自然魔法の加護
俺とベルナンディアは得物を構えながらオーガどもとの距離を詰めていった。
だが、あまり敵を刺激しないよう慎重に、あくまで俺たちに注意を引きつけることを目的に。
オーガどもはすぐに俺たちに気付き、ゴブリンを前衛、オーガを後衛にする形で広がった。
おそらくオーガがこの集団のボスという認識で間違いないだろう。
モンスター単体での強さでいっても、オーガのほうがはるかに巨体で力も強い。
できれば早々にゴブリンを片付け、全員で連携してオーガと戦えるのが理想か。
そう考えていると、となりをいくベルナンディアが短い言葉を発した。
「《防御力向上》」
俺とベルナンディアの体が土色の光に包まれ、全身に力がみなぎっていくのを感じた。
それは敵を倒すための力ではなく、どんな攻撃も受け止められる耐久力に近い力の高まりだった。
「サンキュー、ベルナンディア」
「簡単な魔法じゃ。乱戦になったら攻撃を受けるのも覚悟せねばならんからの」
簡単な、とはいうものの、ドワーフの崇める豊穣の女神ベラジッタの加護を得られるのは心強い。
自然魔法の加護を受けた俺とベルナンディアは先頭のゴブリンに向けてそれぞれの得物を構えた。