新しい仲間
「なあベルナンディアちゃん、君はどうして一人でこのダンジョンへ?」
俺が薬草水をつくっているかたわら、ケイウッドが青リンゴを頬張りながらさっそく少女とコミュニケーションを取っていた。
そこは俺も気になっていたところだった。
通常なら仲間と潜るのが鉄則。
たった一人でモンスターを相手にするなんて自殺行為だ。
ベリーを食べ終えたベルナンディアはため息をついてから首を横にふった。
「初めから一人だったわけではないのじゃ。ギルドでパーティを組んできたはいいものの、所詮、即席は即席。醜悪なゴブリンの姿に皆、蜘蛛の子を散らすかのように逃げ出してしもうた」
やれやれじゃ、とベルナンディアは苦笑した。
そこで俺はある案を思い付いたのだが、
「だったらさ、オレらとパーティ組まないかい、ベルナンディアちゃん?」
俺が言葉に出すよりも早く、ケイウッドが少女に提案を持ちかけた。
まったくさすがだよ、お前は。
ある意味、軽薄と紙一重な人懐っこさはこいつの長所なのかもしれないな。
「ふむ、ヌシらとパーティを、か……」
すかさず俺も加勢した。
「ベルナンディア、俺からもお願いしたい。俺たちは即席も即席、そもそもダンジョンを潜るのに必要な人数すら足りていない。君が加入してくれたらパーティとしての安定感がグッと底上げされる」
「もちろん、オレたちは仲間を置き去りにして逃げたりしないぜ!」
そこは保証できる。
俺はケイウッドを見捨てなかったし、こいつも恐怖と戦いながらも俺との連携攻撃を仕掛けてくれた。
ベルナンディアは少し考えた上ですぐに答えを出した。
「うむ、良いじゃろう。ヌシらの絆は先ほどわしも目にしたからの。背中を預けられる仲間がいるのは頼もしいことじゃ」
「よっしゃー! よろしくね、ベルナンディアちゃん!」
シッポが生えていたらブンブンふっていそうなくらいに喜びをあらわに、ケイウッドはベルナンディアの手を取ってブンブン縦にふった。
「ありがとう。よろしく頼むぜ、ベルナンディア」
「わしの方こそよろしくな。ケイウッド、シュージ」
ドワーフの少女は屈託なく、かつ力強く笑った。