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群生

 ベルナンディアが案内したのは広間の出口の一つ、スライムやゴブリンが現れたのとは別の道だった。

 そちらは進んでいくと小部屋くらいの空間に行きつき、そこで行き止まりになっていた。

 だが、ただの行き止まりと違うのはその空間には草花が生え、緑にあふれていることだった。

 つきあたりの岩肌からはたしかに清水が湧き出し、その下には小さな泉ができている。


「どうじゃ、言うた通りじゃろう?」


「ああ、たしかに。これは助かるよ」


 俺は流れ出る天然の水……ではなく、周囲に群生している草花に目を輝かせた。


「《鑑定ジャッジ》」


 俺は商人のスキルを発動させ、周囲の野草を鑑定した。

 やはりな。

 結果は思ったとおり、薬草として使える草がたくさん生えていた。

 清浄な水の近くには体にいい草花が生えていることが多い。


「ケイウッド、いま治療してやるからちょっと待ってろよ」


 俺は近くに転がっている平らな石と手のひらサイズの石を拾い上げ、念のため清水で表面を洗った。

 俺は地面に座りこみ、ちぎった薬草を平らな石の上に置き、もう一つの石で細かくすり潰していく。

 そうして細かく砕かれた草と汁を集め、ケイウッドの肩に塗りたくった。


「おいシュージ、これって……」


「薬草だ。一般には食べて摂取することが多いが、それは時間短縮の意味合いが強い。本当はこうやって手間ひまかけてすり潰したものを直接、患部に塗りつけるほうが効果は高いんだ」


 青黒く腫れあがったケイウッドの肩にすり潰した薬草をこれでもかと塗りつけた。

 そうして少し待つと、まるでケイウッドの肌に吸収されるかのようにみるみる薬草が消えていった。

 代わりにケイウッドの肩は青黒い色から急速に色が薄まり、すこし赤みを残す程度まで回復した。

 ケガは現実的だったのに、こういうところは変にゲーム的でおもしろいな。


「どうだ、ケイウッド。痛みの具合いは?」


「お、おおお、すげー! 痛くない! 肩が動く! 助かったぜシュージ!」


「ほほう、薬草を見分けて治療に用いたとな。ヌシ、アイテムマスターだけあってすごい技能を持っておるの」


 喜ぶケイウッドに妙に感心するベルナンディア。

 なんだかちょっと気恥しいな。

 まあとにかく、ケイウッドのケガを治療できてよかったよかった。

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