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新たな敵
広間の出口の一つから現れたのは青く半透明な物体、いやモンスターだった。
それも通常のスライムではない。
人間と同じくらいの大きさ、これはラージスライムだ。
「シュージ! オレを、置いて、逃げろ……!」
「何いってんだ、お前さんは!」
俺はケイウッドを守るようにラージスライムとの距離を詰めていき、鞘からナイフを取り出した。
傷を負ったケイウッドを抱えて逃げる余裕はない。
なんとか立ちまわって撃退するしかない。
落ち着け、俺。
青いスライムは物理攻撃も有効な下級モンスターだ。
さっき戦ったゴブリンと大差ないモンスターなんだ。
ただ、その図体が大きいだけ。
やれる、俺ならやれる。
自分に言い聞かせて勇気を奮い起こす。
ここで負ければ俺だけでなくケイウッドも死ぬ。
はじめてのダンジョンでいきなり死ぬのも、仲間を死なせるのもまっぴらごめんだ。
死んでも二人でイムネマに帰る。
俺はそう心のなかで誓った。