火炎ナマズ
炎の精霊から許諾も得た俺たちはマグマの川の様子をうかがった。
川幅はそこそこ広め。
ゆっくり流れるマグマの中に時折、大きな影が映る。
「ケイウッド、詳細な数は?」
「6匹だ」
その時、魚影が勢いよく川面から跳ねた。
大きな口に長いヒゲを生やした火炎ナマズはボチャンと音を立ててマグマの川に戻っていった。
大きさを考えると各個撃破をねらった方がいいだろう。
モンスターの抵抗を考えると跳ね上がるマグマ対策は必須だ。
「エルスラ、ヤケド対策に水魔法をたのむ」
「かしこまりました」
金髪のメイドは目を細めながら意識を集中させ、両手に魔力を集めていく。
青い魔素がきらめき、
「「水魔の加護・重」」
描かれた魔法陣が発動。
俺たち六人の全身が水色の膜で覆われた。
「作戦は単純だ。一匹ずつ川から引きずり出して倒す」
さすがにマグマに浸かるわけにはいかない。
特にエルスラは水属性のスライムだからマグマに突っ込ませることはできない。
いくら魔法の加護があっても被害を推測できないからだ。
「属性的に不利なメルティエとエルスラは後方で可能なら支援を。地面に打ち上げるのは俺とベルナンディアが担当する。引きずり出したらケイウッドとネムリも攻撃に参加してくれ」
全員の了承を得る。
ナマズ釣りの始まりだ。