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利害の一致
『話を戻そう』
炎の精霊は片手を折り曲げ、握りこぶしを作った。
『我はこの地域の炎の元素の高まりを調べに来た。結果、その高まりから生まれ、さらには元素の凝集を助長するような炎の眷属が生まれていた』
それがおそらくケイウッドが感知していた何匹かのモンスターで間違いないだろう。
『我は見ての通り、炎の元素そのものだ。奴らに我の力は効かぬ。また、炎を司る者として同族を屠ることに躊躇がないかと言えば、それもまた偽なり』
なるほど、炎の精霊として元素の乱れを助長する存在を排除したいが後ろめたさがある上にそもそも排除する力がない、と。
要するに、俺たちは利害が一致する。
「それなら俺たちがその眷属を退治しても構わないか?」
炎の精霊は特別、驚くこともなく、
『やってくれるか?』
「こっちはハナからそのつもりで来たんだ。同族を退治しても恨まないでくれよ」
精霊は目の空洞を細めた。まるで頭を下げるかのように。
『委細、任せた』
そうとなれば本来のロック・ワーム事件の元凶退治だ。
ここからが本番、腕がなるってもんだ。