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炎を統べる者
巨大な空洞にはマグマの川が流れ、あちらこちらにマグマの溜め池があった。
見ているだけで全身から汗が吹き出てくる。
「こいつは暑いわけだよな」
アゴにしたたる汗を手の甲でぬぐいながらケイウッドがぼやいた。
「ケイウッド、モンスターの位置は?」
用心すべきはモンスター。
それもケイウッドが違和感を覚えた個体はどこにいる?
「……何匹かのモンスターはゆっくり動いてる。たぶん、あのマグマの中だよ。んで、問題のヤツは……」
そこまで言いかけた時、俺たちの眼前、中空にいきなり火の粉が舞った。
火の粉は数と密度を増やしながら回転し、凝集していく。
「火球」より大きく、巨人種に近い大きさまで膨れ上がると、円球はゆっくり綻びながら下半身のない、燃え盛る人型へと変形した。
「炎の精霊……!」
それは意志をもつ炎の元素の純然たる集合体、炎を統べる者だった。