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異なる世界

「一つ気になったのじゃが、ヌシの世界の遊戯「コレクターズ」と言ったか」


 ベルナンディアが腕を組んで考えるそぶりを見せた。


「その遊戯とやらの世界観、おそらくじゃがこちらと似ているだけで別のものじゃろう」


 それはどういうことか。

 何か根拠があるのだろうか。


「ヌシはこの世界の名前を知っておるかの?」


「そういえば気にしたこともなかったな……」


「コレクターズ」の世界が現実化したものとばかり考えていた俺はそんなことにも頭がまわっていなかった。

 ベルナンディアの言葉を引き継いで、ケイウッドがやれやれとでも言うように肩をすくめた。


「シュージ、お前そんなことも知らなかったのか。この世界はな、コレクタネスって言うんだぞ」


「コレクタネス……」


 響きは「コレクターズ」に似ている。

 だが明確に異なる名称。


「由来じゃがな、はるか昔、大陸を初めて統一した王が各々の信念、つまりは「正義」のもとに生きよ、という意味で名付けたとされておる」


「その話は子供向けのおとぎ話にもなっていますね」


「じゃな。そもそもこの世界、大陸には長い長い歴史がある。国が興っては滅び、様々な種族が戦争と交易を繰り返してきた。そのすべてがヌシの言う「コレクターズ」と同一のものなのか?」


 言われてみれば確かに違う。

「コレクターズ」では世界の名前はアルカディア、理想郷という意味の名前が付けられていた。

 それにアルカディアの歴史についてそこまで細かい資料は存在しなかった。

 あっても古代の魔獣だとか、古代文明の遺跡だとかその程度の簡略的なもので、大陸の長い歴史の中で勃興した国や地名、時事などのこと細かで具体的な歴史まではほとんど設定されていなかった。


「たしかに、そこまで詳しい歴史はなかった……」


「じゃろう? ヌシが異邦人である事実も加味すれば、まったく無関係というわけではあるまい。じゃが、この世界で命を全うするつもりなら別物と考えておいたほうが無難じゃろうて」


 なるほど……。

 このコレクタネスの世界が「コレクターズ」にやけに似ていたり、まるでゲーム的な現象が生じたりしていたせいで同じものと捉えていたが、ゲームの架空世界と実在する世界というだけで別物と考えておいたほうが分かりいいか。

 少なくとも、「コレクターズ」からの知識や経験を過信しないようにする、という一点だけ見ても、実際にこの世界で生きるのに大事な戒めになる。


 過去は過去、「コレクターズ」は「コレクターズ」。

 いま歩んでいる人生とは一線を引いて考えよう。

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