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信頼の証
ベスメディアの試練も終わり、俺たちは広い客間に通され酒宴まで休憩時間をもらった。
正式に婚約者と認められたメルティエはどこかソワソワした様子でベルナンディアとの距離を詰めかねているが、まあ放っておこう。
それより、せっかく自由な時間ができたのだから俺はかねてから考えていた行動を実行に移すことにした。
情報の開示、というより俺の正体の共有。
オルカに言われたことも気にかかっていた。
命を預ける仲間に正体を隠したままなのは、まるで信用していないみたいで座りが悪い。
ケイウッドの本当の目的が生き別れた妹さんを探すことだったり、メルティエがエルフの里を出奔した理由の一端を垣間見たことだったり、そして今回ベルナンディアの身分や立場が明かされたことなどなど。
各自が背負っている事情が分かってきた今、俺も仲間に話せることは話したほうが信頼の証になるだろう。
信じてもらえるかは不明だが、やらないよりはやったほうがいい。
「みんな、ちょっと聞いてほしいことがある」
テーブルについた俺は少しだけ真面目な表情で語りかけた。