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最初の一撃
「特別に最初の一撃は譲ってやります! 全力で来るがいいです!」
「長槍斧」を構えたベスメディアが挑発のつもりか、先行攻撃をメルティエに譲った。
当のメルティエはひとしきり考え込んだあと、
「わかりました。最初の攻撃はこちらから行います。くれぐれも動かないでくださいね」
魔杖を構え、魔法の詠唱に入った。
メルティエの足下から火の元素がうっすらと立ち昇っていく。
丁寧に詠唱されていく呪文は火の粉のような赤い粒子を発生させ、足もとの赤い魔法陣を正確に、精密に形作っていく。
あー、これはメルティエの勝ちだなーと思った次の瞬間、完成された火魔法が放たれた。
「「炎の竜巻・重」!」
ベスメディアを中心に、少し離れた地面から赤い粒子が湧き、それは業火となって立ち上がり、巨大な火炎竜巻が小さな体を飲み込んだ。