跡継ぎ問題に巻き込まれる
めちゃくちゃ面倒くさい雰囲気になってきたのを肌で感じていた。
俺の第六感が言っている。
これは巻き込まれる、と。
「そ、そう言ってくれるのは嬉しいけど、でも、その、世継ぎの問題とか、ね……ね?」
ベルナンディアにパートナーとして認められた喜びを隠しきれないメルティエ。
ベルナンディアがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら俺に水を向けた。
予感は的中。
悪い予感ってなぜか当たるんだよな。
ホント勘弁してくれ。
「そこは摩訶不思議な魔導具を収集しているアイテムマスターの出番じゃろう? 性別問題なぞ軽く解決できるんじゃないかのぉ?」
分かったよ、巻き込まれればいいんだろ!
俺は腹をくくって、わざとらしく大げさにため息をついてやった。
「はぁ……あるよ、魔導具。性別を問わず子を成す奇跡の神聖魔法もあれば、性別を自在に変更できる禁忌の邪悪魔法もある。それらがこめられた魔導具も持ってる。これでいいか?」
したり顔で笑むベルナンディア、驚きと喜びで表情が忙しいメルティエ、悔しさで歯ぎしりが止まらないベスメディア。
三者三様に反応する中、なぜか俺にまでベスメディアの恨みが向いてそうなのが悲しい。
俺は悪くない。何ひとつ悪くない。
そう自分に言い聞かせて慰めていると、ベスメディアは最後の手段とばかりにメルティエに言い放った。
「エルフ! あなたが姉様に相応しいか私が判断します! 決闘です!」




