立場表明、そして婚約者
「俺の旅の目的は世界中のレアアイテムの収集だからベルナンディアのことは仲間としてしか見てないよ」
「オレは色っぽいお姉さんが好みだからなー。ベルナンディアちゃんをそういう対象としては見てないなぁ」
とりあえず成人男性の俺とケイウッドが釈明する。
ベスメディアの疑うような視線は今度は美少年にも見えるネムリに向いた。
「え、ボク? ボクは女の子だし、ベルのことは優しいお姉ちゃんみたいにしか思ってないけど……」
ネムリの「女の子」発言に驚くより、むしろ「お姉ちゃんとして見ている」発言にメラメラと嫉妬の炎が燃えたように見えた。
「わたくしはシュウジ様のメイドです。それ以上でもそれ以下でもありません」
エルスラも無表情に当たり前の事実だけを述べた。
ラスト、金髪のエルフ娘は戸惑いつつも、
「私はベルちゃんのこと可愛いと思ってますし、できることならずっと一緒にいたいとも思いますが、でも私は女ですし、結婚は難しいのでは……」
もじもじと言い淀むメルティエに、あろうことかベルナンディア本人が火に油を注いだ。
「別に女同士でも問題なかろう?」
ベスメディアの何かがブチ切れる音が聞こえた。
「よりにもよってエルフ、婚約者はお前かー!」
メルティエに向かってズビシ!と指が突きつけられた。