ベルナンディアの旅の目的
ベスメディアから飛び出した言葉にパーティの誰もが面食らった。
婿殿? 誰の? ベルナンディアの?
「これこれ、そう急くでない」
「でも姉様は婿殿探しの旅に出られたわけですし、この中にそのお相手がいるのでしょう?」
ちょっと待ってくれ。
これは一体どういうことだ。
話が見えない俺たちにふり返り、ベルナンディアが簡単に説明した。
「まあなんじゃ、婿殿を探すという口実でいろんな酒を嗜みつつ武者修行していた、という感じじゃな」
簡潔すぎる!
というか、一緒に旅してて酒と戦闘には力を入れていたがパートナー探しをしている素振りなんて微塵もなかったじゃないか。
「ワシもまだまだ若輩じゃからの。おいそれと見つかると思って探していたわけではないのじゃよ」
言い訳じみた説明をするベルナンディアとは真逆に、妹のベスメディアは憎悪すらこもった目つきで、
「それで、この中の誰が姉様のパートナーになる方なのですか……?」
本気で俺たちの中にベルナンディアの結婚相手がいると思っているらしい。
困り果てた俺は王様や王妃様に目を向けるが、そこはおおらかと言うか無責任というか、娘たちのじゃれ合いと思っているようで何も手助けをしてくれない。
俺たちは仕方なく弁明を余儀なくされた。