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お姫様の妹君
「姉様!」
綺麗なドレスに身を包んだ少女が駆け寄り、ベルナンディアに抱きついた。
「姉様、ご無事でなによりです!」
ベルナンディアよりふた回りほど小さい少女はどうやら妹のようだ。
髪型以外の容姿は似ているが、性格はすこし異なるように見える。
「ヌシも元気にしていたかの、ベスメディア」
優しく頭をなでてやるベルナンディアに、
「はい! 姉様の言いつけどおり、ちゃんと鍛錬も座学も怠ることなく邁進しておりました!」
力いっぱい抱きついている様を見るに相当な姉好きのようだ。
この場にいるのがベルナンディアの両親と妹、大臣数名だけなのを考えると唯一の姉妹なのだろう。
王様も王妃様も仲睦まじい娘たちの様子を笑顔で見守っている。
俺たちも微笑ましい光景にほっこりした気分でなごんでいると、ベスメディアと呼ばれた妹君は急に険しい顔をして俺たちを睨みつけた。
「それで姉様、どの殿方が婿殿なのですか……!」




