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門番
アザンテ山脈の西側、王都から北北西。
樹林の切れ目に大きな横穴が口を開けていた。
地下ダンジョンの入口のようにも見えるが、実際は少し奥へ下っていくと堅牢な鋼鉄製の鉄門があった。
そばには二人、ドワーフの門番が立っていた。
「何者だ。何の目的でやってきた」
突然の来訪者に警戒する門番に俺が事情を説明しようとすると、
「よいよい、ワシに任せろ」
ベルナンディアが制して門番たちに話しかけた。
二言、三言、言葉を交わすと門番たちは慌てた様子で門を開けるよう内側に指示した。
「すごいな。顔パスじゃないか」
「自分の国に入るのに手こずるなんて笑い草じゃろう?」
堂々とした居住まいに俺はどこか引っかかりを覚えた。