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魔性のシロナ、対抗する魔眼
「そりゃあんたたちが武力で統治していただけのこと。強い者が統治する、当たり前のことよね。ほうじゃけん、うちもチカラで統治するだけの話よ」
シロナは胸の前で、扇子をひらひらと揺らしながらゆっくり横に振った。
赤い粒子がふわっと舞い上がり、部屋全体に広がった。
部屋にいたお付きの女性たちはとろんとした目付きでゆっくりと膝をつき、シロナに恭順の意を示した。
なるほど、これが話に聞いていた《鬼殺しの麝香》か。
同じハイオーガにのみ作用する強力な魅了のスキル。
これがあれば力の弱い者は彼女の言うことを聞くしかない。
だが、今回は話が違った。
「てめえのその思い上がり、今度こそ打ち砕いてやらあ」
オルカがぐっとシロナを凝視し、その左眼に青い輝きが灯る。
瞬間、部屋に満ちていた赤い粒子がパリンと弾けて消えた。
かしこまっていたハイオーガの女性たちは夢から覚めたように目を見開き、不思議そうに自身の体や周囲を見回した。