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鬼人族の村
「これで……しまいじゃ!」
《巨人殺し》で両断された最後の一匹はうねうねと悶え苦しみ、動かなくなった。
ベルナンディアの自然魔法で束縛したものを両手斧、死の太刀、氷属性を付与した武器でコツコツ砕いて殲滅した。
「ご苦労様じゃ」
魔法で巻き込んではいけない、と高みの見物を決め込んでいたシロナが労いの言葉をかけてきた。
うーん、嫌味な感じはしないがどこか釈然としない。
最初の一発以外は結局すべて俺たちに任されてしまった。
いいように使われた感が拭えない。
「どうぞ入ってつかぁさいな」
木門が開かれ、憮然としたオルカを先頭に集落に足を踏み入れた。
オルカたちにとっては故郷である村。
ざっと見渡したところ、話に聞いていたとおり老人や子供が多い。
若い鬼人族もいるにはいるがあくまで少数だった。
畑には葉をつけた作物が植えられており、自給自足で生活していることがうかがえた。
シロナとお付きの女性に付き従い、村で一番大きな建物に案内された。