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赤衣のハイオーガ
防壁に群がるロック・ワームに向かって、やぐらから魔法を放っている人物がいた。
扇子を片手に、雅な赤い着物から肩まで露出させた色っぽい鬼人族の女性。
「シロナ!」
「おや、いなげな顔がおるなもし」
口もとを扇子で隠してコロコロと笑った。
白髪のオルカやイルカとは反対に、艶やかな黒髪を豊かに伸ばしたハイオーガは余裕たっぷりの様子だ。
とてもモンスターの襲撃を受けている者の態度には見えない。
これ、手を貸す必要はあるのか?
「ロック・ワームは炎に強いからのぉ。手助けしたほうが恩も売れて一石二鳥ではあるかの」
「皆様、ぜひお力をお貸しください!」
真面目なイルカに頼まれてしまっては断るのも気が引ける。
我らがリーダー、ケイウッドの号令もあって、俺たちは岩蟲退治に加わった。




