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巨人狩り

「きょ、巨人狩り!?」


 ケイウッドが慌てたそぶりでふり返った。


 俺たちはアザンテ山脈のけもの道を登っていた。

 方角的には王都の北部。

 山の資源採集のために整えられた登山道を登りきった、その先。

 そそり立つ巨山の中腹をめざして道なき道を歩いている。

 ここまで来ると並の行商人や冒険者の姿もない。

 採取物もなく、また狩るような手ごろなモンスターもほとんどいないからだ。

 それもこれもこの地が大型モンスターのテリトリーとなっていることと関係がある。

 そのモンスターというのが、


「巨人って、あのジャイアントだよね?」


「それ以外になかろうて」


 得物をさすりながらベルナンディアはすでに愉悦に入っている。


「巨人種といえば会話も通じる聡明な種族だったと思いますが……」


 メルティエの疑問はもっともだ。

 巨人はその土地の守り神として崇められることもある、ありがたい種族だ。

 知恵もあれば会話もできる、モンスターと呼ぶには憚られる者たち。

 それを俺たちは狩ろうとしている。


「たしかに巨人の多くは友好的だし、よほどのことがないかぎり戦闘にも発展しない。とはいえ、例外もある」


「もったいぶるのが好きな野郎だ」


 オルカも口では突き放しながら腰の得物に手を当てているあたり、ベルナンディアと同じ類いの高揚を覚えているのだろう。このツンデレめ。


「人間にもいいやつと悪いやつがいるように巨人にも周囲に害をふりまく輩がいる。そのうちの一体を狩るのが今回の目標さ」


「邪神の類いか?」


「いや、そこまでは達していないな。普通の巨人だ」


 巨人種はその威容から時に巨神と呼ばれることがある。

 そして魔の力に堕ちた巨人は邪神と畏れられることもある。

 だが、今回の標的はそういうものではない。生来、邪悪な資質を持って生まれたジャイアントだ。

 自ら人里に降りてきて暴れまわることは少ないが、その邪悪さと強大さ、敵になったときの厄介さから討伐推奨モンスターの指定を受けている。

 人間基準で見たときの善し悪しで判断されるのだから巨人もたまったものではないが、今から俺たちがねらうのは確かに邪悪で、狩れる者も少ない強力なジャイアントだ。

 冒険者ギルドの討伐推奨を受けるのも無理からぬことだった。

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