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鬼人族の経緯

「オレたちは元いた集落から抜け出した連中だ」


 オルカはやや遠い目をしてハイオーガたちの経緯を語った。


「元々、オレたちはアザンテ山脈づたいにもっと西へ行ったところに住んでいた。部族には当然、ガキもいればジジババもいた。豊かとは言えないが不自由のない生活があそこにはあった。だが、あいつが力を持つようになって、部族は真っ二つに割れちまった」


「あいつ?」


 ケイウッドの疑問にオルカのそばに控えていたイルカが声をあげた。


「シロナ様でございます。わたくしや兄上と対になる名家のご息女で、兄上の許嫁でもありました」


「ほう、許嫁のぉ」


「親が決めた形だけの約束だ」


 オルカはうんざりした面持ちでため息をついた。


「シロナの魔力には同族を魅了する魔性が宿ってやがる」


「《鬼殺しの麝香》とわたくしどもは呼んでおります」


 イルカの説明によると、魔力の弱い者はすべからくシロナというハイオーガにひれ伏し、その魔性の虜になってしまったのだという。

 そうした状態の村でシロナはわがまま放題に遊び、呑み、奔放にふるまい、彼女の魅了に抵抗できる者たちは反発した、と。


「それでお前たちのような若くて力のある者だけが村から抜け出してきた、というわけか」


「そんなところだ」


 不機嫌そうなオルカの態度は、その決断がけっして本意ではないことを物語っていた。

 なるほど、事情はわかった。

 そして、この問題は同時にオルカたちだけの問題でもないことを理解した。

 彼らはオークに新しい移住先を襲われた。

 今後、どこに居を構えるか。

 いつまでも屋敷に住まわせるわけにもいかない以上、この話は俺にも関わってくるというわけだ。


「で、お前たちはこれからどこへゆく? どこに住むつもりだ?」


 たずねるとオルカはいつか見たのと同じ笑みをニヤリと浮かべた。


「シュウジ、オレたちに手を貸せ」

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