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オークの指揮官

 何十体目かのオークの首をはね、俺はふたたび《瞬間移動テレポーテーション》のスクロールを使用して仲間たちのもとへ戻った。

 冒険者の戦線は押し進んでおり、オーク軍をほとんど殲滅していた。


「なんかすごい爆発させてたけど、あれシュージがやってたの?」


 オークに弓矢を射かけながらケイウッドが手持ち無沙汰ぎみにたずねた。


「魔法のスクロールでちょちょいとな。アイテムマスターがマジックアイテムを使うのは自然だろう?」


「いやはや、オレたちの参謀様は底知れなくて恐ろしいねえ」


 ケイウッドは冗談っぽく肩をすくめてみせた。


 そうさ、ゴールドクラスにもなった俺たちは高位の魔法やそれを封じ込めたスクロールを使用したとしても不自然ではない。

 あくまでアイテムを使用して戦う、という制約はあるものの以前より多種多様なスキルや魔法を行使できる。

 今後はわざわざ「リミッター」を解除して戦う必要もなくなってくるかもしれない。

 それだけ俺たちが急速に成長してきた、ということか。


「とりあえず戦況は……まず優勢と見て問題なさそうだな」


「雑魚がいくら束になろうと敵にならんわい。魔法の援護もあるしの」


 オークの胴体を真っ二つにしながらベルナンディアも会話に参加してきた。

 全身血まみれで真っ赤だが、ケガはなさそうなのを見るにすべてオークの返り血なのだろう。

 鮮血の大地人、なんて呼び名が脳裏をよぎったが、怒るどころか喜びそうだったので喉もとで押しとどめた。


「……見えやがった。あれがオークの指揮官で間違いねえな」


 オルカの憎々しげなつぶやきに前方を見ると、たしかに戦闘用の防具とは異なる、祭司のような装束を身に付けた小柄なオークが杖を片手に指示を飛ばしていた。

 《狂戦士化バーサーク》したオークに命令が届いているようには見えないが、誘導程度はできているのか?


 また、疑問なのは指揮官であるはずのオークはオーク軍が二手に分かれる場所で指示を出している点だ。

 指揮官、総大将であれば軍の殿にいるのが自然だ。

 王国騎士団だってアレクセイが殿で伝令を使って指示を飛ばしていた。

 そう考えるとこれは……。


「あの野郎をぶち殺せば、後は三下オークどもを狩るだけだな」


 言うが早いか、オルカはバンドウに剣士隊の指揮を任せて駆け出した。

 オーク軍の中央部、ネムリとエルスラが築いた死体の山を足場に一直線に駆けていく。

 その後ろ姿に何か胸騒ぎのような感覚を覚えずにはいられなかった。


「みんな、オーク軍を急いで殲滅してオルカを追うぞ! 何かイヤな予感がする!」


 仲間たちから返る元気な返事は心強い。

 俺も剣を抜いて前線に加わった。

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