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騎士団の援護

 連携の取れた攻撃や範囲魔法でオーク軍を抑え込めると確信を抱いた俺は王国騎士団の助勢に向かうことにした。


「ケイウッド、俺は騎士団の加勢に行く。後の指揮は任せるぞ」


「この調子で抑え込めばいいんだよね?」


「パトリシアたちのことだけ気を付けておいてくれ。ふたたびオークの軍勢が増え始めたら、ネムリ、エルスラ、頼めるか?」


「また範囲魔法だね!」


「承知いたしました」


 後方で休んでMPを回復している二人はしっかり自分たちの役割を理解してくれていた。これなら大丈夫だろう。


「ベルナンディア、メルティエ、何かあったらすぐに《伝達メッセージ》で知らせてくれ」


「わかりました」


「まあ、その必要もなかろうがの」


 オークをなぎ倒しながら力強い返事をしてくれた。

 頼むぜ、みんな。

 俺は《瞬間移動テレポーテーション》のスクロールを使ってここより西の王都側、王国騎士団の陣営まで移動した。


 騎士団の後方に移動した俺の目に飛び込んできたのは混沌とした戦場だった。

 騎士団の数は1万を越えていたはずだが完全にオーク軍の勢いに押されていた。

 鶴翼の陣を敷いていたのに肝心の正面の騎士団がオーク軍に押され、左右の軍が間延びして有効な攻撃を行えない状態に陥っていた。


「アレクセイ! 無事か、アレクセイ!」


「シュージ、こっちだ!」


 指揮官たちと伝令でごった返している集団から返事があった。

 よかった、どうやらまだ冷静さは保てている状況らしい。


「アレクセイ、どんな戦況だ?」


「まずいね。見ての通り押されている。先頭でガルド団長が食い止めてくれているおかげで騎士たちの戦意も損なわれずに済んでいるが、このままだと遅かれ早かれ敗走は必至だ」


 爽やかイケメンの顔にもさすがに汗が滲んでいた。

 それだけの苦境ということだろう。

 手段としては今から王国にもどって増援をよぶ時間はない。

 俺のアイテムで支援するのが妥当か。


「俺がオーク軍の数を減らす。アレクセイは騎士たちの士気が下がらないよう踏ん張っていてくれ」


「頼めるか?」


「やらなきゃ貴族の役目が果たせないんだろう?」


 アレクセイは苦しまぎれににやりと笑い、伝令に指示を飛ばした。


 ここで騎士団が遅れを取ればオーク軍の進行は王都に及びかねない。

 王国貴族として、そして人としてこの戦線は維持しなければならなかった。

 俺が手を貸すことでふてくされるのでなく、戦意が高揚してくれれば良いのだが。


「《飛翔フライ》!」


 俺はスクロールを使い、宙へ浮かび上がった。

 そのまま騎士たちの頭上をまっすぐと進み、最前線まで飛んでいった。

 その途中、前線より少し後ろでダングスト侯とコルケス男爵が騎士たちに檄を飛ばしている姿があった。

 本来の作戦であれば後方でアレクセイとともに指揮するはずだったが、騎士団の戦意を維持するために前方に出ているのだろう。


 空から俯瞰してみても決して数では負けていない。

 しかし、死ぬことすら恐れない捨て身の軍勢と故郷に家族や友人を残してきた騎士たちの戦意には大海より広い隔たりがあった。

 これなら勝てる、と思わせるだけの勢いがあれば、また気の持ち様も変わってくるはずだ。

 俺は《無限の宝庫アナザーポケット》から幾束ものスクロールを取り出した。

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