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豚狩り

「ぐお、るるう……」


 正気を失くしたオークの剣撃を俺とベルナンディアで受け止める。

 《狂戦士化バーサーク》しているがためにパワーは上がっているが攻撃そのものは単調だ。

 一撃を受け、返しで首をはねていく。鎧で守られている胴体より頭をねらったほうが効率がいい。

 ベルナンディアの場合は力技で強引に胴体を真っ二つにしているが俺には向かない芸当だ。


 俺とベルナンディアが受け流したオークはケイウッドが弓矢で足や頭部をねらい撃つ。

 一撃で倒せればそれで良し。倒せなかったオークはメルティエが《火球ファイア・ボール》で一体ずつ確実に仕留めていく。

 いくら《狂戦士化バーサーク》で強化されていても数で圧倒されないかぎり、俺たちの敵ではなかった。


「《桜吹雪・爆》!」


 隣ではオルカが桜の紋様の入った刀を横薙ぎに振るい、オークどもの無防備な頭部に桜の花びらを無数に貼り付け、炸裂させていた。

 あの刀にはああいった特殊技もあるのか。

 アイテムコレクターとして、ますます欲しくなるな。


「《風花鬼剣術・壱の太刀》!」


 オルカの脇をすり抜けたオークにはバンドウをはじめ、鬼人族の剣士たちが斬りかかった。

 スキルにより刀身に赤い闘気をまとわせ、一体一体を確実に討ち取っていく。


 その連携は見事なもので、足の速い者が軽傷を負わせてオークの足を鈍らせ、力のある者が致死の攻撃を加えていた。

 さすがはハイオーガというべきか。

 力まかせのただのオーガと違い、知性を駆使した戦い方である。


「深緑の森」は確立された連携でオークどもを圧倒していた。

 ジミスリィの魔法で防御力を上げ、カルバンの魔法でコルシェの魔力を高める。

 カルバンの自然魔法《蔦樹の磔刑アース・バインド》でオーク軍を蔦植物で絡めとり、足止めしてコルシェの魔法詠唱の時間を稼ぐ。

 詠唱の終わったコルシェが《水泡球バブル・スフィア》でオークどもを包みこみ、その口腔を水で完全に満たして窒息死させていた。

 小綺麗な顔してなかなかえげつない戦い方をするものだ。


 逆にパトリシアたちは苦戦していた。

 ラブが《髑髏の骨壁スケルトン・ウォール》を一人で維持しているため、オーク軍には他の三人で対処しなければならなかった。

 前衛をパトリシアとナルミが踏ん張って抑え込み、レクストがその俊足を生かしてオークに傷を与え、隙ができたところをパトリシアとナルミで叩くという地道な戦法だった。

 堅実な戦い方だが一体を倒すのに時間がかかりすぎている。

 このままではいずれ数に押されて戦線が崩壊しかねない。援護が必要だろう。


「メルティエ、パトリシアたちの《髑髏の骨壁スケルトン・ウォール》に沿って貫通魔法を一撃ぶっぱなしてくれないか?」


「援護ですね、わかりました」


 詠唱とともに赤い魔法陣がメルティエの前方に浮かび上がり、魔法陣の中央に赤光が集約されていく。


「《赤熱の視線ペネトレイト・フィーバー》!」


 かざしたメルティエの指先から一条の熱線が光のごとき勢いでほとばしり、《髑髏の骨壁スケルトン・ウォール》沿いのオークどもの胴体を貫いていった。

 鎧をも溶かして貫通し、はるか遠くのオークまでもが焼き焦げた胴体から黒い煙を上げながら軒並み倒れていった。


「シュージ、メルティエ、助かったわ!」


「お互い様だ、気にするな。さっさとこいつらをなぎ倒して王国騎士団に加勢しに行くぞ」


 強力な連携魔法、個々人の優れたスキル。

 量では劣るも質が段違いに高い。

 俺たちの勝利は揺るがなかった。

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