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戦の準備

 俺たちは各々に戦の準備を進めた。

 俺は王都やレンドル、イムネマの魔術師ギルドに出向き、大量のスクロールを購入した。

 また、空きビンも同様に大量に仕入れた。


 ゴールドクラスのパーティとなり、貴族にもなった俺はさまざまな者から注目を集めるだろう。

 今後は特にアイテムに頼って戦うことで俺の異質さを隠蔽する必要がある。

 アイテム使いがバカスカ魔法を撃っては奇異な目で見られるからだ。


 仲間たちとのスキルや魔法の連携技を確認する傍ら、空いた時間で魔法のスクロールやマジックアイテムの生成に勤しんだ。

 大量に、かつあらゆる局面に対応できるように多様なアイテムを生産していった。


 作戦会議の翌日。

 俺は気晴らしに王城の近く、ガルドら王国騎士団のもとをたずねた。


 門番の騎士に名前を告げると慌てた様子で礼儀正しく頭を下げ、中に入れてくれた。

 練兵場では模擬戦を行う騎士もいれば、武具の手入れを入念に行っている騎士もいた。


「ガルドさん!」


 模擬戦を観戦しながら騎士に指示を飛ばしているガルドに話しかけると、まわりで練習をしていた騎士たちまで手を止め、こちらをふり向いた。

 なんだなんだ、騎士以外の部外者が入っちゃまずかったか?


「シュージ殿!」


 ガルドが声をあげると、まわりのそこかしこからコソコソ話し声が聞こえてきた。

 ……俺のことを話している?


 近づいてきたガルドに挨拶をし、騎士たちの調子や士気について話をすると、ガルドは笑いながら答えた。


「シュージ殿、今まさに騎士たちの士気は最高潮に達しているぞ。すでに感じているだろう?」


 あ、はい、さっきからすごく、変な心地です……。


 まわりの騎士たちが俺に向ける視線には二つの感情のどちらかが塗り込められていた。

 一つは羨望。憧れと畏敬の念を込めた尊敬のまなざし。

 もう一つは嫌悪。冒険者を見下し、さげすむ嘲りのまなざし。


 なるほどな。

 俺を良く思う騎士と悪く思う騎士とでハッキリと二分されていて、そのどちらもが俺の登場によって気持ちが高まっているというわけか。


 戦の準備は着々と進んでいるようだし、士気も低くない。

 ケンカを吹っかけられる前にここは退散しとこう。


 俺は手短に挨拶すると練兵場を後にした。

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