再会
話がだいたいまとまったところで、そもそもの自己紹介をすることになった。
なんだかんだで俺の名前すらオルカに名乗っていない。
パトリシアやアレクセイも含めた俺たち、ハイオーガの一族、「深緑の森」の全員が顔と名前を確認しあった。
鬼人族は統領のオルカ、妹の姫巫女イルカ、統領補佐のバンドウが一族の顔となるメンバーだった。
聞いたところ三人は幼馴染みなのだとか。
役職もあるだろうが、大切な妹分のイルカに危害が及ばないよう神経質になっていたためのあのバンドウの警戒具合だったようだ。
「深緑の森」はパーティリーダーのコルシェ、その兄でどこかヘラヘラしているカルバン、そして女エルフでおどおどしているアミスリィとその弟のちびっ子エルフ、ジミスリィ。
コルシェは攻性、カルバンは攻撃支援、アミスリィは回復、ジミスリィは防御と得意分野をそれぞれ別にする魔導師かつドルイドだということだ。
パーティが兄弟二組で構成されているのはめずらしく思えるが、亜人種の場合、おなじ里出身の者たちでパーティを組む傾向があるのだという。
おそらく人間との種族間の軋轢を考慮して同族でパーティを組んでいるという実情もあるのだろう。
そう考えると人間もドワーフもエルフもいる俺たちのパーティはなかなかめずらしい顔ぶれと言えなくもない。
そして、一つ面白い出来事があった。
「メルティエ、隠れてないで出てきなさい」
ベルナンディアの背後に縮こまって隠れたつもりでいる我がパーティのエルフは、名前を呼ばれて肩をビクリと跳ねさせた。
「メルティ、ひさしぶりじゃないか。隠れてないでその可愛いお顔を兄さんに見せてくれよ〜」
コルシェとカルバンに呼ばれ、おそるおそるといった体でメルティエは立ち上がった。
「なぜ隠れるのですか?」
「い、いえ、姉様、それはですね……」
「会いたかったよお、メルティ〜」
カルバンがメルティエに抱きついて頬ずりを始めた。
当のメルティエは恥ずかしげにしており、コルシェが近寄ってカルバンの頭に拳骨を落として無理やり引き剥がした。
「痛いじゃないか、コルシェ〜」
「兄さん、人前でみっともない真似はやめてください」
どっちが年上かわからないやり取りをくり広げたのだった。




