レンドル南方伯の叙勲式
いよいよ待ちに待った俺の叙勲式の日になった。
俺と仲間たちは王城の玉座の間に招かれ、王様とその姫殿下、王子殿下、騎士団長のガルド、騎士団副長のちょび髭の男、そして大勢の貴族たちに囲まれて厳かに爵位を授けられた。
俺のファミリーネームがなかったので便宜上、城塞都市レンドルから取って、レンドル南方伯との名をもらった。
なんとあのレンドルを含む王国南方はあのエンネイ侯爵の領地だったらしく、その後を引き継ぐ俺はレンドルをはじめ、周辺のいくつかの村も治めなければならなくなった。
ただ、俺が平民出身で領地運営等の仕事がわかりづらかろうとの配慮でエンネイ侯が雇っていた家来たちをそのまま付けてもらった。
執事と秘書が一人ずつ、屋敷を管理する使用人が十人程度。
事前に調査したかぎりでは皆、平民出身であろうと主人には従うまじめな働き者たちだった。これはありがたいことだ。
しかしながら俺は冒険者なので領地運営は執事と秘書に任せるつもりでいる。
領民の暮らしが豊かになるような運営を心がけ、何か非常事態があったら《伝達》のスクロールで連絡してもらえばいい。
そんなことを考えながら王からの激励の言葉と爵位の授与をもって叙勲式は幕を閉じた。




