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第一試合

 通路を抜けると円形の闘技場に出た。

 闘技場といっても建物の地下空間なのでそこまで広くはない。

 地面にはところどころ黒い染みができており、ここでいくつもの命が奪われたことを示していた。

 周りを見回すと仮面を付けた男女がめずらしい動物でも見るような目で俺へ視線を注いでいた。

 通常の闘技場と違うのは、金持ちが集まっているせいか、血の気の多い輩がおらず、自然、雄叫びや雑言の類が飛び交わないことか。


「皆様、お待たせ致しました。本日も命知らずの荒くれ者どもによる、血で血を洗う野蛮で残酷なショーをお送りして参ります。心よりお楽しみください」


 司会による口上は立派に聞こえるが、こんな殺し合いの見世物で興奮するやつは大概変態だ。

 ルールのある通常の闘技大会ならまだしも、殺し合いを楽しめる連中の気が知れない。


「さて、まずは本日、飛び入りで参加してきました兜の男、実力は未知数、メゾッカでございます!」


 あ、俺のことか。

 偽名だとどうにも反応に困る。

 まあ剣を振り上げておくか。


「対するは卑劣な闘い方を得意とする残虐の盗賊、ザトグ!」


 向かいの入口から現れたのは細身で身軽そうな背の低い中年の男だった。

 ひと目で悪人っぽさを感じさせる人相が男のこれまでの人生を物語っていた。

 やはりこの闘技場の試合、ろくでなしばかりが集められているようだな。


「ルールは無用。どちらかが死ぬか降参するまで試合は続きます。それでは始めてください!」


 司会の言葉が終わると観客の雰囲気がおもむろにざわついてきた。

 なるほど、やはりこういったショーを見たがる人種というものは冷静な仮面をかぶったゲス野郎が多いということか。


 俺はひとまず眼前で二本のナイフをこすりあわせる盗賊の男に意識を向けた。

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