パーティ名称
どんちゃん騒ぎから一夜明け、昼過ぎには二日酔いでツラそうなケイウッドも含め、全員が目を覚ました。
「みんな、クエストは成功に終わったわけだが、さしあたり急ぎで次の予定のあるやつはいるか?」
俺の言葉に特別、反応を返す者はいなかった。
「そうか。じゃあとりあえず全員で冒険者ギルドに行き、冒険者プレートを更新してもらおう。その後は解散して自由行動、用事があれば《伝達》の魔法で連絡を取り合う、ということでどうだ?」
今回の一件で全員のレベルがかなり上がった。
冒険者としての地位を表すプレートの更新は重要だ。
これによって受けられるクエストのレベルも上がる。
実力に見合った報酬のいいクエストも受けられるということだ。
また、全員レベルが上がったことで魔法適性の低いケイウッドでも《伝達》の魔法くらいは使えるようになっただろう。
これからは距離が離れていても、この魔法でいつでも連絡を取り合うことができる。
「オレは構わないぜ」
「ボクもー!」
「右に同じじゃ」
「私もそれで構いません」
満場一致ということで、俺たちは冒険者ギルドに移動した。
ギルドの受付のお姉さんは俺たちのレベルに驚いていた。
王都では仕事も少なく、まったりした空気のなか対応していたお姉さんも、俺たちのプレート更新の応対には目が覚めたかのようにテキパキと動いてくれた。
「では、皆様のレベルを鑑みた結果、皆様にはゴールドプレートをお渡しすることになります」
その言葉に俺たちの周囲でざわめきが起こった。
すげーだの、王国三番目のゴールドクラスだの、冒険者たちの興奮した空気が伝わってくる。
「へへ、オレたち、ブロンズからいっきにゴールドに駆け上がっちゃったな」
「これケイウッド、あくまでシュージの活躍の賜物であることを忘れてはならんぞ」
「まったくです。あのデーモンを退治した影響が大きいでしょうからね」
「わ、わかってるって!」
俺の働きをちゃんと認めてくれる、俺は本当にいい仲間を持ったな。
「そんなに気にしないでくれよ。そもそもみんながいなければ最上階にたどり着けてたかも怪しい。あくまで俺たちパーティ全員が力を合わせた結果だと考えようぜ」
俺の言葉は本心からのものだった。
みんなはやわらかな笑みを浮かべた。
「皆様、ゴールドクラスのパーティになられましたので、正式にパーティ名称を伺いたいのですが……」
パーティ名称かぁ……。さっぱり考えたことなかったな。
「パーティ名称と言われてものぅ……」
「だよなぁ。おいリーダー、どうするよ?」
こういうときはやはりパーティリーダーのケイウッドに丸投げ、もとい任せるのが手っ取り早い。
「ふっふっふ、オレに妙案があるんだが、決めちゃってもいいかな?」
「もったいぶらずに言ってくれ」
ケイウッドは得意げな笑みを浮かべ、その名称を口にした。
「ズバリ! 「ケイウッドと愉快な仲間たち」ってのはどうだい?」
パーティメンバーの誰もが微妙な表情で硬直した。
たしかにリーダーはケイウッドだが、あまりにこう、うん、安直だし、そう…………ダサいな。
「……他に案のあるやつはいないか?」
「おいシュージ! 無言で流すなよ! 傷付くぞ!」
「いやだってさ、さすがにちょっと、なぁ……」
俺が言葉を濁したところを、
「うむ、ダサいのぅ」
「ひどいッ!」
ベルナンディアさん、辛辣ぅ!
「まあなんというか、適当な感じがするだろ、さすがに。何かその名称じゃなきゃいけない理由とかあるのか?」
苦しまぎれにケイウッドに助け舟を出してやると、ケイウッドは急にまじめな表情になった。




