安堵
ふたたび自分に「リミッター」をかけ、《原始の箱庭》を解除してから《探知逃れ》の指輪をしまうと、ちょうど仲間たちがこちらに気付き、俺を出迎えてくれた。
「シュージ!」
ケイウッドとネムリは一直線に走ってきて抱きついてきた。
「シュー、心配したよ!」
「まったくじゃ。大事ないかの?」
俺が無事であることがわかってゆっくり歩いてくるベルナンディア。
「ああ、心配かけて悪かったな。俺は無事だよ」
「それならよかったです」
やわらかな笑顔でメルティエも微笑んだ。
俺の帰還を待っていたのはパーティメンバーだけじゃなかった。
「シュウジくん、ほんまに心配したんやで!」
さらに抱きついてくるナルミのおかげで首がちょっと苦しい。
「無事で何よりね」
「おネエさん、心配したんだからねん!」
「傷はどうだ? ポーションでも飲むか?」
パトリシアもラブもレクストも、皆それぞれ俺のことを心配してくれた。
こんなにも多くの友が出迎えてくれるなんて、俺はなんて幸せなんだろう。
「シュージ殿、無事であったか」
おそらくネムリかパトリシアに回復魔法をかけてもらったのだろう、ケガが癒えているガルドが俺の前にやってきた。
「やつは……エンネイ侯は……」
「倒しましたよ。もちろん、対外的にはガルドさんが倒したってことにしたほうがいいでしょうね」
そうか、と少しもの思いにふけったのも束の間、ガルドは深く頭を下げて礼を述べた。
「シュージ殿、本当に、本当に心から感謝する……!」
「頭を上げてください。俺は冒険者として、モンスターと戦っただけのことですよ」
「このことは王にも報告し、相応の労いをさせていただきたい」
かしこまるガルドの真面目さに対応しながら、俺は安堵のため息をついた。
自分だけじゃない。
仲間たちも、ガルドやパトリシアたちも、本当によく頑張った。
今回のクエストが成功に終わったのは彼らのおかげだ。
仲間がいたから頑張れた。
俺は仲間たちに感謝しながら、とりあえず街にもどり、エールの一杯でも飲み干したい気分だった。




