生と死の狭間で
腹が痛い。
「シュージ!」
遠くで俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
たぶんケイウッドだ。
軽薄で頼りなくて不用心で、盗賊には似合わないお人好しで。
でもどこかほっとけなくて、結局パーティを組んでしまった。
パーティ……?
咳をすると生あたたかい液体がゴボゴボと口から漏れた。
酒豪で強靭で、それでいて包容力のあるベルナンディア。
無垢な青い瞳でまっすぐに見上げてくる弟のような妹のような、庇護欲をかき立てられる存在のネムリ。
機転が利いて何かと世話を焼いてくれるメルティエ。
まだ大した冒険もしていないというのに。
真っ暗で何も見えない。
俺は、死ぬのか?
死ぬ…………死ぬってなんだ?
なんで俺が死ななければいけない?
俺は「コレクターズ」を骨の髄まで遊び倒した男だぞ。
それが「コレクターズ」にそっくりな世界で、しかもまだ見ぬレアアイテムを集めることもできずに死ぬだと?
俺はこの世界でも最強のアイテムマスターになると決めたんだ。
決めたからには中途半端には終われない。
決めたからには必ず成し遂げる。
死んでたまるか……。
絶対に、こんなところで、死んでたまるか……!
心の底から強く、強くそう願ったとき、俺の脳裏に一つのパネルが現れた。
そこには青白い文字で『咆哮』と記されていた。
俺は持てる力をふりしぼり、そのパネルに意識を集中させた。




