作戦の効果
シャドウ・アサシンの足を床に接着していたものは俺がケイウッドに渡しておいた粘着玉の液体だった。
シャドウ・アサシンには弱い個体から攻撃する習性がある。
だから、まずネムリをねらってくるだろうとの予測はついていた。
だが、ネムリへの初撃を防いだ後の動きまでは予想できなかった。
そのまま高速で予測のできない攻撃を続けられては勝機がない。
そのため煙幕ですべてを隠し、俺がネムリを守るつもりでいること、ケイウッドが粘着玉で動きを封じるつもりでいることを隠す必要があったのだ。
すべては運よく、作戦どおりに事が運んでいる。
だが油断は禁物だ。
トドメを刺すまで気を抜いてはいけない。
足の動かないシャドウ・アサシンはもがき、全身をふり乱して何とか抜け出そうとしている。
俺はメルティエと手をつなぎ、火の魔力の流れを思い描いた。
俺とメルティエの周囲に火の粉が舞い散り、呪文が完成する。
二人でシャドウ・アサシンに向かって手をかざし、唱えた。
「《炎の監獄・重》!」
影の暗殺者の足首から頭上までを燃えさかる立方体が包み込んだ。
シャドウ・アサシンは全身を炎に巻かれて声にならない絶叫をあげ、悶え苦しみ、やがて膝から崩れ落ちて動きを止めた。
焦熱の熱気が俺たちの体にまとわりつき、ほどけて消えた。




