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魔侯爵の下僕
二つの黒い影はしだいに生き物の形を取り始めた。
一つは細身の人間のような形。
もう一つはオーガよりも巨大な四足獣の形。
「喜びたまえ。これらは我が忠実なる下僕。君らの命を奪う者たちだ」
俺たちの前方で立ち上がっていく細身の人型はやがて黒い装束に帯を頭、手足に巻き付けた忍者のような姿になった。
これは厄介だ。
上位の悪魔に仕える闇の暗殺者、シャドウ・アサシンだった。
パトリシアたちのほうに出現した大型の影は腐肉から骨が露出している腐った四足獣、ロトン・バジリスク。
石化のブレスを吐きかけるバジリスクがアンデッド化したモンスターだ。
石化のブレスは使えない代わりに触れたものを腐らせる腐蝕のブレスが防ぎづらい、厄介なモンスターだった。
シャドウ・アサシンは高速の動きによる攻撃に長け、ロトン・バジリスクはブレスによる範囲攻撃とアンデッド特有の耐久力に長けている。
雑魚モンスターの大群も骨が折れたが、こいつらも厄介極まりない。
俺はさしあたり眼前のシャドウ・アサシンへの対抗策について思案をめぐらせた。




