大軍の第三階層
三階にあがると最初の部屋から道が二手に分かれていた。
俺たちは二階とおなじくケイウッドパーティ、ガルドとパトリシアパーティに分かれて探索することにした。
第三階層では全体的に通路も部屋も広く、その代わりモンスターの待ち構える部屋の数も少なかった。
だが、そこはさすが三階か。
下級悪魔のインプやレッサーデーモンが一部屋に大量に待ち構えていた。
いや、正確にはあふれていた。
部屋の奥には台座があり、その上に収まっている黒い宝玉が禍々しい魔力を漏らしながら低級の悪魔たちを次から次へと召喚していた。
俺たちはネムリの神聖魔法、《聖なる領域》で室内の悪魔どもを弱体化させ、片っ端から斬って燃やして片付けていった。
悪魔の大軍は黒い宝玉の魔力が切れると打ち止めとなり、宝玉は色を失って砕け散った。
そして台座のそばには必ずといっていいほど宝箱があり、それなりに高価な武具やアイテムが入手できた。
「試されているのう」
ベルナンディアはもはや達観した様子でこのダンジョンの仕組みを受け入れていた。
仕組まれているとしか思えない、人工的なダンジョン。
俺のいた世界で言うなら、あからさまにゲーム的な構造。
「まあそうはいっても、先に進むしかないよね」
ケイウッドも経験を積んでだいぶ肝が据わってきた。
見ればネムリもメルティエもこのわずかな期間で立派に冒険者の顔つきになっていた。
《勇敢なる戦意》で戦意を向上してはいるが、この一件が終わったら気晴らしのできる時間を設けよう。
そう決めて俺は仲間たちに声をかけた。
「よし、この階層もさっさと攻略して魔侯爵をぶっ飛ばしてやろうぜ」
仲間たちは力強くうなずいた。




