血の海
胴体を四方から切り刻み、ついに再生もできなくなったフレッシュ・ゴーレムは肉片と大量の血液を撒き散らしながら崩れ落ち、溶けていった。
「貴殿らに感謝するぞ」
「いえいえ、ガルドさんならきっとお一人でも倒せたことでしょう」
お世辞でも何でもなく、事実、ガルド一人でゴーレムを押していた。
倒すのは時間の問題だっただろう。
俺たちとガルドは残りの一体、パトリシアたちが相手をしているゴーレムに目をやった。
攻撃に特化したクラスがいないため、ウォークレリックのパトリシアを中心にコツコツとダメージを与える戦術で戦っていた。
おかげで辺りは一面、血の海になっていた。
低級のモンスターの集団相手なら問題なく倒せるパーティバランスだが、こういった耐久力に優れた巨大モンスター相手には分が悪い。
バランスは悪くないがモンスター次第では相性による有利不利が顕著に表れるパーティだった。
だが、それでもパーティの連携が取れているおかげでじわじわとゴーレムの体力を削っていっている。
「ガルドさん、俺たちはパトリシアたちを後方から支援します」
「ああ、頼む。私が加勢してはかえって邪魔になるだろうからな」
前衛職が増えすぎては連携を邪魔してしまう。
おなじ理由で俺やベルナンディアも加勢できないし、遠距離攻撃を得意とするケイウッドやメルティエも傍観するしかない。
「ネムリ、神聖魔法で援助しに行こう」
「わかったよ!」
俺とネムリはパトリシアたちのもとへ走り、前衛で戦っているパトリシア、レクスト、ナルミに回復魔法をかけた。
ネムリの神聖魔法と俺の簡単な防御補助の魔法が三人の体を光で覆った。
「シュージ、悪いわね!」
「お互い様だ、気にするな!」
「さすがシュウジくんやわ。あとでたっぷりイチャイチャして恩返しせなあかんな」
いや、それは結構だ。
「お前らよそ見するな! 一気に叩くぞ!」
レクストの掛け声を合図に三人の攻撃は今まで以上に勢いを増し、ゴーレムの肉を削り取っていった。




