助勢
フレッシュ・ゴーレムを倒した俺たちはつかの間の勝利に喜びつつ、すぐまわりの状況を確認した。
騎士団長ガルドはゴーレムの片腕を斬り落とし、胴体にいくつもの傷痕を付け、残った腕の殴打を剣の腹で正面から受け止めていた。
「すげえ……」
ケイウッドの感嘆もわかる。
たった一人でゴーレムと渡り合うなんて並の芸当ではない。
さすが王国最強とも謳われる戦士だ。
パトリシアたちのほうはネクロマンサーのラブが死霊術でゴーレムの動きを抑制し、他の三人はパトリシアを中心に打撃を加えていた。
俺たちと比べて純粋な前衛職がいないため、攻撃の決め手に欠けて苦労しているようだった。
戦力的にはパトリシアたちの手助けをしたほうがいいだろう。
しかし、俺たちが加勢すると人数が多くなりすぎてチームの連携が乱れる恐れがある。
俺たちはまずガルドの助けに入ることにした。
「ガルドさん! 加勢します!」
「助かる!」
受け止めていた拳を押し返し、バランスを崩したゴーレムにすかさずガルドのスキルが叩き込まれる。
「《八爪獅子面斬》!」
八本の剣筋が一度に刻まれ、おびただしい血が噴き上がった。
俺とベルナンディアがガルドの脇をすり抜け、ゴーレムの横腹を切り裂く。
「グジュブシュ……」
くぐもった声をもらすゴーレムは残った腕をがむしゃらにふりまわした。
俺とベルナンディアはすかさず回避し、ガルドはあえてその殴打を剣で受け流し、肘の周囲を縦横にめった斬りにした。
飛び散る血しぶきの中、切り刻まれた肉が落ち、残った腕のつなぎ目をベルナンディアが断ち切る。
ここまでくればあとは残りの胴体を切り刻むだけだ。
俺とベルナンディア、そしてガルドの三人で残った肉塊に刃を突き立てた。