プロローグ
まだ寒気が残る春の朝、台所からする異臭に目を覚ます。風翔は放火にでもあったかと考えたが直ぐにその思考を取り払う。
何故なら台所から幼馴染の悲鳴が上がったからだ。
まただこれで何度目かもわからない程の朝の異臭に顔をしかめつつ声を出す。
「花音お前また料理しようとしただろ。」
するとパタパタとこの春俺と同じ高校生のはずの背の低い妖精の様な白い少女が駆け寄ってきた。
「だって風翔寝てたからお腹空いたんだもんだいたい風翔が起きてくれないのが悪い。」
ムスッとして頬を膨らませながら花音が言う。
おっちょこちょいの癖して妙に俺には我が強いんだよなこいつ。
「起きなかったって昨日夜中までババ抜きしようって言ったの何処のどいつだっけな。」
「しっ知らないなぁ...」
呆れつつもその楽しい会話を楽しむ
少し無口な花音とここまで話せているのが嬉しくて楽しくて仕方がない。
そんな会話を楽しみながらある疑問点に気づく。
異臭が止んでいないのだ。
とっても嫌な予感がするので恐る恐る聞いてみる。
「花音...お前火切ったか?」
「え?作ってる途中だったのに切ってる訳ないよ?」さも当然の様にサラッと口にする。
..........?
「?」
「?」
お互いに顔を見合わせ首を傾げる
異臭が濃くなりだした。あれ?ヤバくねといった思考がだんだんど頭の中を占めていく。
「か、花音のアホォォォォォォォォ!」
入学式の前の穏やかで緊張感のある筈の空気は台所が焦げる臭いによって喧騒に包まれていった。
アドバイス等よろしくお願いします!