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非愛転生〜カタオモイ〜  作者: オサム
第2章 異世界アスティルカ
17/58

15話 違和感

 



 その後順調にロイヤルバトルが終わり、予定通り明日からトーナメントとなった。


 そして注目のトーナメント表が発表された。


 ロイヤルバトルからトーナメントへ進んだのは29名になった。

 クリスの出場した8番グループは勝者が2名しか出なかったので、ランダムで誰かがシード枠となる事になった。


 そしてAトーナメント、Bトーナメント、Cトーナメントと振り分けられ、シード枠の18名は6名ずつ各ABCトーナメントに分けられた。


 クリスはAトーナメント。ルナはCトーナメントとなった。

 残りの5日間でABCのトーナメントを行い、最終日に優勝~3位を決める予定だ。


 つまり各トーナメントでは4試合分勝てば決勝へ行ける。

 そのABCトーナメントの1試合目が明日行われようとしているのだ。



 解散となり、明日の試合時間、そして集合時間を告げられた。

 クリスとルナはそれぞれ別の時間だが、出場選手は控え室に出入りできるそうなので一緒に行く事にした。


 宿屋『くまさん』に帰ると店主のダイルがトーナメント出場おめでとうと喜びながら言ってくれた。そして夕食にはサービスでデザートを付けてくれた。


 2人とも少し照れながらもダイルに感謝した。


 その後2人は宿にある風呂へ行き、すぐに就寝した。なんだかんだ体は疲れていたらしい。

 2人は仲良く、すぐに眠りに落ちていった。




 ───


 よく眠れたクリスとルナは、他の人の試合も見るために集合時間の少し早めに宿を出た。

 その際、ダイルが「勝ってこい!」と言ってくれた。

 2人は元気いっぱいの返事を返して大会会場へ向かった。


 控え室に入ると昨日発表されたトーナメント表が大きく貼られていた。

 Bトーナメントのシクレって人がシード枠になっていた。


 試合を観ていると、クリスの出番の時間になったので、クリスはルナに一言告げて控え室に戻った。すると対戦相手らしい大きなガタイの男性が話しかけてきた。


「へぇ、君がクリスねぇ。その年でここまで来れるなんてすごいじゃん」


「ありがとうございます。私の対戦相手さんですか?」


「そうだ。手加減してやるよ!くはははっ!」



 馬鹿にしたように舞台へ上がっていった。

 その様子に呆気に取られながらクリスも舞台へ上がっていった。

 するとテンションの高い実況者がマイクを片手に試合選手の紹介を始めた。


『さ〜て次の試合はこの方達だ!

 まずはこの男、6番のロイヤルバトルで勝ち残った斧使いの冒険者だ!ランクはBとの情報が入っています!

 そしてお次はそちらの若くて綺麗な女性冒険者!クリスさんです!!クリスさんもランクはBとの情報です。ロイヤルバトルでの素晴らしい実績を残した今注目の選手です!!』


「ぉぉおおおお!」

「クリスー!!頑張れよ〜!!」


 クリスの紹介が入ると会場が湧いた。

 ファンクラブでもできたのかってくらいの熱狂だ。


 それが面白くなかったのか、その男は舌打ちした。


「はっ!女だからって調子にのりやがって。

 まあいい、全力でかかってきな!軽くひねり潰してやる」


 それに対してクリスは冷静に返した。


「おじさん、そう言われるの気分良くないからやめてほしいかな。試合は試合だから覚悟してね」


「ああ!?クソが」


 クリスの冷静な大人の対応が逆効果だったらしく、息を荒くして無駄に大きい斧を地面に叩きつけた。


『それでは〜両者準備が整ったそうなので開始のゴングを鳴らしたいと思います!!

 どんな試合になるかとても楽しみです!

 では、いざ試合開始っ!』


 ゴングが鳴った。


「【身体強化】ァッ!」


 身体強化を使いクリスに駆け出した。

 すると実況が会場に説明をする。


『おおっと〜いきなり身体強化を使った!そしてクリス選手へ駆け出したぞ!!

 おっと!?クリス選手は動かない!どうするつもりか』


 クリスは動かなかった。


 ──ギィンッ!──


 そして男の無駄な動きばかりの上段大振りを、手にした片手剣だけで受け止めた。


『なにぃ〜!クリスさん!すごいです!斧の攻撃を片手でにした剣だけで受け止めた!』


 クリスは剣を横に流し、斧のベクトルをずらし魔力の篭もった脚で回し蹴りをした。

 それはとても綺麗に腹に吸い込まれ、男は変な声で鳴いて場外まで吹っ飛んだ。


『なっ、!?勝負ありぃぃいい!!

 場外で勝者、クリスー!!!』


「「「わあああああああああ」」」


 一拍空いて、会場が湧いた。

 そしてクリスコールが止まない。


 そしてクリスはその男の方を向いて呟いた。



「試合、ありがとうございました。

 えっと、……Bランクの誰でしたっけ?」


 言うことは言ったと、歓声を浴びながらクリス機嫌良さそうに控え室へ戻って行った。




 ───


 第1試合から3日程経った。


 クリスやルナのその強さは皆に知れ渡ったらしく、ちょっかいをかけたり見下すような事をする者はいなくなった。

 そしてクリスとルナは順調に試合に勝ち進んだ。


 そして今、Aトーナメントの決勝戦が始まろうとしていた。



『みなさ〜ん!!長らくお待たせ致しました!

 Aトーナメントの決勝戦が始まります!』


「「「うぉぉおおおお!!」」」


『みなさん既にご存知でしょうが、説明させてもらいます!

 まずはこの男、王国騎士副団長 ロゼル・ラーフ!!力強い豪剣の使い手!!巧みに繰り出される剣技が特徴です!』』


「「「ぉぉおおおおお」」」

「やったれ〜!!」

「勝ってくれえ!!!」



『そして今大会のダークホース!若き女性冒険者 クリス!!』


「「「うぉぉおおおおおお!!」」」


『その腕にどんな力が篭もっているのか!?素早い攻撃で相手を吹き飛ばす程の豪力!!

 力強い豪剣の名を持つロゼルとの試合が楽しみです!!』


「「「おおぉぉおおおおおおお!!!」」」

「「クリス!クリス」」

「クリスッわァんッ!!」



(うわぁ、変なのがいた気がした。

 そして1部の人は「おおお」としか言ってない気がする…。)

 選手専用席から見ているルナはそんな事を考えていた。


 会場は物凄い熱気に包まれていた。

 強選手と好選手のぶつかり合い。


 誰もが注目する1戦となっていた。



「クリスさん、その実力は見せてもらったよ。

 私は王国騎士なので簡単にはやられてはいけなくてね、全力で行かせてもらう」


「ふふ、うん!それがいいよ。舐めてるわけじゃないけど、おじさんみたいな強い人と戦うのは楽しみだよ!」



 クリスとロゼルは闘志を燃やしていた。


『では、開始したいと思います!……開始っ!!』



 ゴングが鳴る。



「「【身体強化】ッ!」」


 2人の声が重なった。そして、同時に駆け出した。



 ──ギィィンッ!──


 片手剣と大剣がぶつかった。


 金属がぶつかり合う音と共に会場に凄まじい衝撃波が駆け巡った。


 そしてお互いに剣を降り抜いたが、クリスのが力で押された。

 2人はその勢いに身を任せ距離を持った。



『おおお!これは凄まじい衝撃波でした。そして僅かながらクリスさんの力が押されています。流石は王国騎士副団長!!』


「「ぉぉおおお!!」」


 会場にいる観客の殆どは今の動きに追いつけなかった。

 ただ、凄いことが起こったことだけ理解出来た。



「ロゼルさん、強いね」


「あぁ、クリスさんもな、魔力の限りの身体強化か……強いな」


「わかっちゃった?」


「魔力くらい、王国騎士は皆感じられる」


「王国騎士ってすごいんだね!」


「そりゃな。そしてこりゃ、勝負がわからなくなった。本気でいかせてもらう。」


「うん、私も……」



 またも2人は同時に駆け出した。

 そして剣の猛攻が始まる。

 攻撃防御を互いに繰り返し、金属音の連打音が周囲に飛び散った。

 観客はまるで何本も剣があるように見えた。



 ロゼルが瞬時に加速した。今までとは比にならない程の速さだ。

 背後から横なぎが来たと感じたクリスは剣で咄嗟に防御した。


 ロゼルの重攻撃に踏ん張れなくなりクリスは場外ギリギリまで弾かれた。



 そして、クリスの片手剣が真ん中から折れた。


『おおっと!今の猛攻は凄かったー!!!

 そしてクリスが吹き飛ばされ、剣が折れてしまった!これは絶体絶命かー!?』


 剣の折れたクリスにクザンは問いかけた。


「クリスさん。続けますか?」


「もちろん」


 そしてクリスは駆け出すと同時に折れた片手剣をロゼルの目元に向かって投げた。

 それをロゼルは剣で上へ弾いた。

 その時には大剣と入れ違いのようにクリスがロゼルの真下へ潜り込んでいた。


 そして魔力の篭もった脚でロゼルを蹴り上げた。

 上空数十メートルまで飛び上がったロゼルは、その威力に耐えながら空中で体制を整えたが、既に目の前にはクリスがいた。


「ロゼルさん、私はルナのためにも、私のためにも勝たないといけないんだ!」


 そしてクリスは拳を繰り出した。

 それを大剣で受けたロゼルだったが、着地した所は場外だった。


「ああ、私の負けですね」


 周囲を確認したロゼルはそう言って肩を竦めた。


『決まったあぁぁぁぁ!!勝負あり!ロゼル場外で、クリスの勝利ーーー!!!!!!』


 会場が爆発的に湧いた。


 クリスはロゼルの方をみた。

 そしたらロゼルは舞台へ上がってきた。



「ありがとう。とてもいい試合だった。

 いろいろ学ばせてもらったよ」


「こちらこそありがとう!ロゼルさんには剣技だけじゃ適わないや」


「だから私を空中へ飛ばしたんだろ?

 本当に見事な戦い方であったと思う。

 そして改めて、おめでとう!」


「ふふ、ありがとう!」


 そして2人は握手を交わした。

 会場は大きな拍手に包まれた。



 ───


 Aトーナメントの優勝が決まり、次にBトーナメントの決勝が行われる。

 クリスとルナは選手専用席でその試合を見ることにした。


「クリス、お疲れ様。あの騎士さん強かったね」


「うん、ロゼルさんとても強かった。良い経験になったよ」


「そう、良かったじゃん。あ、試合始まるよ」



 舞台を眺めると、白い服装と白い仮面を身につけた女性と、細剣使いと思える髪の短い女性が対峙していた。


『お待たせしました!!Bトーナメント決勝戦です!

 選手の紹介に移ります!まずはこの白い服装をした謎の仮面の女性!シクレ選手です!!』


「「うぉぉおおおお!!」」


 実況を聞いてクリスは首を傾げた。


「ん?シクレってどこかで聞いたような……?」


「あー、シード枠の人だよ」


「あ、思い出した」


 Bトーナメントでのシード枠に選ばれた選手だ。


『シクレ選手は国からの推薦です!そして素晴らしい実力を秘めています!今までの試合ではその繊細な長剣さばきがとても印象的です!』


「「ぉぉおおお!」」


『そしてまたこの方も国からの推薦です!王都の学園の教師の1人、シェル選手です!!

 素早い身のこなしと巧みな細剣の使い手でまるで芸術かのような戦い方が特徴です!』


「「ぉぉおおおおお!」」


 そして2人は軽く話し合い落ち着いた。

 この距離じゃさすがに聞き取れなかった。


 それを見計らって実況者が開始のコングを鳴らした。


 すぐに長剣と細剣が幾度もぶつかり合った。

 そしてそれは続く。激しい剣舞となり観客を魅了した。


 クリスとルナにはシクレの方が有利に見えた。

 相手の攻撃の捌き方がシクレの方が上手いからだ。


 それにシェルも気がついているのか一気に勝負をつけに突っ込んだ。

 すると、シクレの姿が消えた。



「……ん?」


「どうしたの?クリス」


「いや、なんか……?

 よくわかんない気のせいかな」



 そしてシクレはシェルの背後に現れた。

 繰り出された剣技は反応しきれなかったシェルの体を運び、場外まで導かれた。

 まるで剣が誘導しているように見えた。


 場外に落ちたシェルは無傷だった。



『試合終了!!勝負はシクレだあぁぁぁ!!!!』


「「「わあああああああ!!!!」」」



 2人は握手をして控え室へ戻って行った。


「よし、じゃあ次はルナの番だね、頑張って」


「うん、絶対勝ってくる!」



 クリスは笑顔でルナを送り出した。

 ルナはとてもいい表情で試合へ向かって行った。



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