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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔女タリアの歌、百鬼騎行

作者: ペコ

 魔女のモノローグ、ご注意ください、ひどい話しです。

三つのパート、起承転の構成です。


 私は玩具(おもちゃ)、くだらない遊びのおとなの玩具

ある日は男の神官様、次の日には女の神官様に、私のからだは奉仕して、

快楽の恥辱にうち震える

でも、ほんとうの私を誰も知らない

誰も見ていない

誰にも魅いらされていない

私の心は誰のものでもない

誰のものでもない玩具なら、裏切られることもない


 ひとたび外にでれば、私のからだも自由になって、

今度は私が奉仕されるがわになる

快楽だけは真実

私を裏切らない

あの快楽の時間だけは私を裏切らない

私は感じる、満たされていると、私はそれに溺れる


 そんな私をあばずれとさげすむ目は、

お堅く心を開かないのは、お前も同じだろうに

快楽を知らない哀れな欠陥品だと、思っていた

そんなお前だと信じていた

信頼していた


 そして裏切られた

私をさげすむ眼差(まなざ)しも変えず、

ある日、お堅い清楚が淫らな妖艶に豹変した


 怒り

私は玩具なのに、玩具は裏切られないものなのに

 怒り

それをあの女は、

 怒り

踏みにじった

 怒り


 まるで月の夜の雌が雄にまとわりつくように

しもべにした情夫といちゃついて、

衆目を(はばか)らず絡みついて、

私を裏切っていい気になっている


 あれほど、裏切られないように、

(こん)をつめてきた私を裏切って、

いい気になっている


 裏切り者、この裏切り者

怒り

 許せない

絶対に許せない

 怒り、怒り、怒り

絶対に、絶対に、許せないわ

 許せるものか

許せるなどできるものか


 私は短刀(ドス)を構え、いっきに裏切り者の背に走りよる

えいっ!

 なんという快楽の刹那(せつな)




 歳15、成人の儀をおえた私は、神殿の従者に選ばれた

世界は開かれて、私の歩みは、飛ぶように軽かった

そしてあの男に出会った、出会ってしまったの


 深い声は私の耳を愛して、長い指は私の体を愛して、

夢中になった

体を許し、体の芯を重ねることを続けた

私はそれがすべてで

幸せが快楽の逢瀬がいつまでも続かないはずがないと

思っていた


 でも終わりがきたわ

ある夜、交わりの床に待ち受けていたのは裏切り

すり替わりに、気づいた時は遅かった

押さえつけられ、ほかの男の精を受けた

それでも肉の快楽だけは、私を裏切らなかった


 身持ちの悪い女と(おとし)められて

そしてつきまとうな、遠地の助神官を選ぶか、神殿を去り卑賤な民の娼館に身を落とすか

選べと突き放された


 私は見知らぬ地にいくしかなかった

その遠地に赴任する助神官がいて、その女に同行するしかなかった


 お堅い女、歳20は越えているのに男を知る目を持たず、

そんな女に口では同情された


 なのに私が男のかわりを求めたら、女も知らない目でさげすまれた


 私の心は怒りに満ちて、見せつけるように、快楽を追い求めた


 そして歳17、気がついたときには身ごもっていたの

精が誰のものともわからぬ稚児(ややこ)は、育てることをかなわなかった

いつの間にかいなくなった

奴婢がどこかに連れ去った


 それでも快楽は私を裏切らない

快楽だけは、私を裏切らない


 快楽がすべて。

男の神官様と女の神官様の玩具、おとなの玩具でいれば、

助神官にすぎない私は、快楽がすべてでいれる


 もう誰も信じない

信じないから、稚児を宿す愚かな失敗もない


 失敗さえなければ、いつまでもこの神殿の快楽は

私のもののはず

なのに

なのに

あのお堅い女に、そんなことはおきないはず

なのに、

私を裏切って豹変した

神官様はあの女をみている

女の神官様もあの女をみている

従者も従僕も下男も下女も、卑しい奴婢までも、みな

妖艶に魅入られている


 私のもの、私の快楽の(その)は、裏切り者に脅かされていた


 それであの女を刺したの

えいっ!と深く刺してやったわ

背中から心の臓を狙った

肉を刺し(すじ)を骨を断ち切った


 素晴らしい手応え

快楽の刹那


 あの女は男の腕から抜けて倒れていった

私と目が合った

何故、驚いた目をしてるの

今更、なにを驚いているの

もう、二度と私を裏切ることはないのよ

驚かなくてもいいのよ


 私はさらに、短刀を振るった

女を裏切らせた、男ともやらなければ


 えい!えい!

私は短刀を振り回して男の背中を何度も切った

刺すのとはまた違う肉を切る快楽をくれる男

それにも私は溺れた


 だが、あの男はそれにきずいたふうもなく、

振り向いて、


 あの男は、

やめろ!と


 やめろ!と

短刀を繰り回すのを

やめろ!と


 やめろ!と

その快楽をやめろと


 やめろ!と

その快楽を思い出すのをやめろと?


 いったいなにを、やめろ!と

快楽を話すのをやめろと?


 いったいなにを、やめろ!と

話すのをやめろと


 いったいなにを、やめろ!と

話すのをやめさせて


 やめろ!と


 やめろ!と

なんで


 やめろ!と

なんで、思い出すのをやめさせてくれないの


 やめろ!と

そうだわ、やめさせなくてわいけないわ


 やめろ!と

やめさせるのは気持ちいいかしら

そうね、思うだけでもぞくぞくするわ


 やめろ!と

わかった、やめさせるわ



 あなた、ねえ、私に快楽をちょうだい




 

 火焔(かえん)に騎乗し、舞い上がる

黒煙と火の塵を我が(ころも)とする


 眼下は一面、(くれない)の大海

劫火こそ(ただ)れたこの(その)にふさわしい


 我と淫楽を喰らいあいし百余の眷属(ものども)

(おのれ)の身も灰燼(かいじん)と帰せ


 我と因業(いんごう)をともにせし(ししゃ)

再会を期せ


 そして高く舞い上がる

雲中に高く舞い上がる


 雷鳴は我が叫び

雷電は我が鞭

大き雨雹(うひょう)は我が血涙(けつるい)


 さらば、罪業(ざいごう)の楽園よ、汝は我を失った

我を揺籃(ようらん)せし煉獄に未練なぞあるものか


 ゆくは、白き明けの空のまだこぬ、彼方(かなた)、闇の夜に沈む都

我を()めし、元凶(げんきょう)どもぞ巣くう

その(けが)れた(とこ)にいざ礼に報いに参ろうぞ


 いく淫の嵐こそ我が騎行(きこう)と知れ




 狂おしい、真昼のまぶしい光が乱舞の空には

溶け込んで、眠ろう


 橙色が融けて沈む黄昏(たそがれ)に目覚めよう


 雲を()かせ

黒雲を起こし

回し高く巻き上げる

我の時間が始まる


 そうして五夜の嵐に騎行して

すべての始まりの都は

今、眼下にあり


 頂きは遙か

(こご)える天空


 月と星を独り占めして

下界は広がる暗黒の雲のスカートの下


 雷鳴を(とどろ)かせ

雷電を落とし

伏魔の神殿を城を撃とう

絶え間なく

真黒い燃えかすに変えて

蹴飛ばしてやろう


 いでよ、我と堕ちし百余の淫魔、眷属よ

汝の角笛(つのぶえ)を昂ぶらせ鳴らせ

淫風をとくと吐け

貴人、神官どもを、淫業(いんごう)の狂気に(おとし)めよ

そして喰らえ、喰らい尽くせ

さすれば、我は

この罪の都にこそふさわしい

強欲の悔いの大涙(たいるい)を高き空から叩きつけてやろう


 削除した過去作よりの引用の備忘録です。いつか羅刹に、救いで結びにするために、掲示させていただきました。

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