003 姫騎士ちゃん 3
俺が包み込んでいるせいで見た目には分かりにくいが、姫騎士ちゃんは身体中から汗をかいている。
そもそも現状に陥る前に俺と一戦交えているのだから、当然と言えば当然である。
もちろん、この「一戦交える」はえっちな意味ではない。
それが今は、温まった俺に浸かっている状態の上にさっきから何かと身体に力を込めているのだ。
ぬるめのお風呂に入ったまま運動しているのと変わらない。
実際、唯一俺が覆っていない顔にもポツポツと玉の汗が浮かび始めていた。
おお、もったいない。
俺は薄く伸ばした身体で姫騎士ちゃんの顔もそっと覆って、キラキラ輝く宝玉を吸収する。
当然、目、口、鼻の穴は塞がないように避けているので大丈夫。
姫騎士ちゃんが窒息してしまうようなことはない。
うむ、甘露甘露。
言うまでもない事だが、姫騎士ちゃんの全身から湧き出す汗は、分泌されたその瞬間に俺によって吸収されている。
汗も涙も涎もその他諸々も、姫騎士ちゃんが出すモノは何から何まで甘露だ。
その全てを! 一切合切を! 余すところなく賞味させて頂く所存である。
それにはまず、姫騎士ちゃんとの密着度を完璧なものにしなければならない。
皮膚が皺や襞になっているところ、被さっているところなどを、もれなく伸ばして捲り返して剥き上げて、そこに俺の身体を触れさせる。
もちろん、そっと、丁寧に。
小さな気泡が出てくるということは、そこに隙間があったという証だ。
「ひっ、ひぃいっ」
次に、耳におへそに毛穴に汗腺といった、目、口、鼻を除く姫騎士ちゃんの身体中の穴という穴に粘液の身体をゆっくりと侵入させていく。
もちろん痛みを感じさせるようなヘマはしない。
「そ、そこは駄目だ、あっ、あ、ああぁあっ」
あー、毛穴が詰まっているところがあるじゃないか。
姫騎士ちゃんの可愛らしさ、美しさを損なう恐れのあるものは、見つけ次第丁寧に除去して溶解吸収する。
垢や傷んだ角質といった老廃物や余分な油脂成分などがこれに当たるが、これらも姫騎士ちゃんから出たモノなので当然甘露だ。
「んっ、んっ、くぅうッ」
こうしてたっぷりと時間を掛けて姫騎士ちゃんを磨き上げた。
普通にお風呂に入る程度とは比較にならないくらいきれいになったと自負している。
スライム浴と呼んでもいいくらいだろう。
ただ、そうしている間にも姫騎士ちゃんの身体は汗を始めとしていろんなモノを出す。
それらはもちろん、俺が即座に吸収するのだ。
さあ、きれいになったところで、今度は気持ちよくなってもらおう。
お待ちかねのえっちなイタズラの時間だ。
と言っても、もちろんひどいことをするつもりはない。
ちょっとあちこちをマッサージするだけだ。
身体を波打たせて、まずは手足の先からモミモミしてあげる。
「ひゃあっ!」
指先一本一本から始まって、指の股、手の平、土踏まずなんかをむにむにと揉んでいく。
並行していろいろと効くツボなんかも押してあげよう。
こんな時、どこでも自在に動かせる身体というのはとても便利だ。
「い、痛ッ! やめ……ひぃ、いたたたたっ」
やめろと言われたってやめる訳にはいかない。
ツボを押して痛いのは凝っている証拠だ。
泣き言には取り合わず、全身を順番に容赦なく責め立てていった。
柔らかいところがむにゅりむにゅりと形を変え、俺の目を楽しませてくれる。
やがてそれが腕の付け根、鎖骨の下辺りに至った時、姫騎士ちゃんの叫びは最高潮に達した。
「ぃっ、痛い痛い痛い、やめて、そこはやめてッ。も、もうゆるして、ゆるしてぇっ!」
ここにはおっぱいを支えている筋があり、大きい娘はほぼ例外無くコリコリに凝っている。
目に涙を浮かべ、ひいひい泣きながら許しを請う姫騎士ちゃん。
戦いの最中であれば相手の攻撃を喰らっても歯を食いしばって耐えるのに、こういうのには弱いようだ。
もちろん許してあげたりはしない。
特に凝っているんだから、念入りに揉んであげないと。
こうして筋肉が軽く解れたところで次の段階へ移行する。
既にちょっと肩で息をしているみたいだが、本番と呼べるのはここからだよ?
「きゃうっ!」
姫騎士ちゃんが可愛らしい悲鳴を上げる。
手足にいきなりビリピリッと来てびっくりしたのだろう。
これが長い時間を掛けて開発した俺流スライム式マッサージの真髄。
火、水、雷といった各種魔法を応用して発生させた低周波パルスと高速微細振動によって心地良い刺激を与え、神経と筋肉を同時に揉み解すのだ。
俺の身体を使った直接の揉み解しと組み合わせると効果は抜群である。
特定の筋肉を狙い撃ちすることで、そこだけ強制的に動かして鍛えたりすることもできる優れものだ。
普段あまり使っていない部分や鈍らせたくないところにオススメ。
世界広しと言えども、こんなことができるスライムは他には居まい。
密かな自慢である。
いきなり全身に施すと痙攣を起こすことがあって危険なので、まずは手足の先に仕掛けたのだが、それでもやはり驚いたようだ。
しかし今の反応を見る限り、特に悪い影響や反応は無さそうだ。
範囲を広げても大丈夫だろう。
「やっ、あっ、ひッ」
二の腕、太股とターゲットを広げながら、気持ち良さそうなところを探っていく。
反応がいいところを見つけたらもちろん集中的に。
平らなところより、膨れて飛び出しているところや引っ込んでいるところの方がより気持ちいいようだ。
ふむ、この丸っこいところがいいのか。
「あっ、そっ、駄っ、待っ。あッ、あぁあああッ!」
そうしている間にも姫騎士ちゃんの身体はあちこちから汗やら何やらを湧き出させるので、それらはもちろん即座に頂戴する。
うむ、甘露甘露。
この一滴のために生きてる! という感じがするな。
「や、やぁああ! ひッ、ぐッ。ん、ん゛ん゛ん゛ー!」
範囲を全身の内外各所に広げ、強弱を付けながらマッサージを続けていく。
そうしていると姫騎士ちゃんは、どこかに行っちゃったり誰かが来ちゃったりといった意味のよく分からない事を何度か口走り、その度に身体を反らせてビクンビクン跳ねた。
やはり低周波パルスが時折筋肉に意図せぬ動きをさせるのだろう。
「ああッ、も、もう死ぬ、死ぬぅうう!」
そのうち、苦しいような蕩けるような表情になった姫騎士ちゃんはそんな事を言い始めた。
そろそろ頃合いか。
姫騎士ちゃんのくっ殺に応えてあげる時が来たようだ。
魔導砲、用意。
魔力充填、開始。
俺の身体の一部に魔力が集中していく。
安全装置、解除。
今まで効かせていた理性の箍をはずす。
目標照準内視鏡、解放。
普段の視界とは違う、精密な照準を合わせるための部位を現出させる。
魔光照射十文字測定器官、明度二十。
目標を明るく照らし出すと同時に、着弾予定箇所に十文字を投影する。
魔力充填、百二十パーセント。
よし、発射準備は整った。
対ショック、 対反動防御。
姫騎士ちゃんがまた急に反り返ると危ないからね。
最終安全装置、解除。
さっきからいろいろとやっているように見えるだろうが、要は姫騎士ちゃんの特に気持ちいいところを集中的にマッサージしてあげようというだけだ。
これは単に盛り上がった俺の気分を表現するための脳内シークエンス。
姫騎士ちゃんは安全です。
三、二、一、零。
魔導砲、発射。
俺は強烈な低周波パルスと高速微細振動を、一点に向けて発動させた。
「やッ、あッ、あッあッ、あぁあああああああーーーッ!」
案の定激しく身体を反り返らせた姫騎士ちゃんは長く尾を引く声を上げた後、ぐったりと動かなくなった。
もちろん本当に死んでしまったりはしてはいない。
はぁはぁと少し荒いけれどちゃんと息をしているし、それに合わせて豊かなおっぱいが波打つように上下している。
気持ちよくなり過ぎて意識を手放してしまっただけだ。
魔導砲に応射するかのように盛大に発射された結構な量の体液をきっちり吸収した後、俺は身体を大きく動かして姫騎士ちゃんを横たわる姿勢へと変えていく。
全身をピッチリと包み込んでいた身体を上下から挟み込む形に変え、一緒に温度も適宜下げた。
もちろん、姫騎士ちゃんに触れる部分はサラッとした亜麻布のような肌触りに変更済みだ。
その辺りに抜かりは無い。
傍から見ると今の姫騎士ちゃんは、透明なジェルベッドの上で透明な上掛けを被って眠っているように見えることだろう。
乱れていた姫騎士ちゃんの吐息も、程なくすうすうと穏やかな寝息へと変わった。
この様子なら姫騎士ちゃんには満足して頂けたものと思われる。
さて、姫騎士ちゃんが目を覚ました時のために準備をしておこう。
俺は上に載せた姫騎士ちゃんの心地良い重みを楽しみながら触手を伸ばした。
誤字脱字などありましたら、ご指摘くださると幸いです。
2018/05/03、二話連続公開予定。
すぐ次があります。