子猫0005
タルノがダンジョンへの侵入者という危険性について指摘した訳だが…
「だぁ~いじょうぶよぉ~」っとアルスラーナ。って、をい。
「いやいや、大丈夫じゃないですからねっ!
流石に最高神様も大神様もダンジョンへの侵入者に対しては何もできませんのでっ!」
そうタルノが諭すように駄女神へと告げると、彼女はニンマリとしてタルノへと言い放つ!
「何よタルノったらぁ~私の力を忘れたの?」っと、実に良いドヤ顔である。
そんな自信満々な彼女の言葉を聞き、タルノがハッとした顔となった。
おや?何かあるのだろうか?
「そうかっ!アルスラーナ様には絶対防御の力があるじゃないですかっ!」
そうタルノが告げると、両腰に手を当て胸を張りエッヘンっと言った風に。
うむ、実に、実に偉そうである、無い者に自慢するような姿は一部の方々には不評となること請け合いだ。
しかし、この駄女神たるアルスラーナであるが、実は最高神たるナルサリューンの孫娘であり最高神に溺愛されている存在である。
その過保護振りは彼女へ与えた能力である絶対防御能力を鑑みても分るというものだ。
この絶対防御と言う能力は、彼女が指定した領域内では如何なる暴力をも振るうことができないというものである。
っと言っても言葉の暴力だけは無理だが…
つまりダンジョンへと侵入を果した者が物理的だろうが魔術的であろうがダンジョン内で攻撃を行うこと自体が無理となる訳だ。
「なぁ~るほど…じぁ子猫が此処で暮すのには何も問題ない訳なんですね?
なら安心です、どうぞアルスラーナ様は天界へ帰って頂いて結構ですよ」
当然っと言ったようにタルノがアルスラーナへと告げるが…
アルスラーナがチッチッチっと人差し指を左右に振って告げる。
「分ってない、分ってないなぁ~タルノはぁ」っと。
「えっ?何がですか?」首をむ傾げるタルノ。
「だっ・かぁ・らぁ~、私が帰ったら絶対防御領域が消えるでしょ。
それにポイントが自動で得られなくなるじゃないの。
それにね☆私はダンジョンへ召喚された身だから勝手に帰れないのよねぇ~」
いや帰れないってアータ…いきなりのカミングアウトである。
「フゥアッ!!何しちゃってんですかぁアルスラーナ様ぁっ!」
いきなりのカミングアウトに動転するタルノであった。
頭を抱えるタルノだが、ハッっと何かに気付いて頭を上げる。
「そう言えば…維持コストのマイナス補正とか消費ポイント百分の一、獲得ポイント百倍なんて無茶苦茶な機能を良くダンジョンコアに付けれましたよねぇ。
魔界側からクレーム付かなかったんですか?」
不安そうに尋ねるタルノ。
「大丈夫よ、彼方側は知らないもん」っと気楽に返す。
「ファッ!それってバレたらヤバいんじゃないですかぁぁぁっ!」
慌てて告げるが…
「大丈夫、大丈夫、元々天界側が創るダンジョンってオマケみたいな物ですもの」って笑って告げている。
「いや、天界ダンジョンって天界人を増やすための重要な施設ですよね?」
そう問い詰めるタルノへ困ったようにアルスラーナが説明を始めた。
「ねぇタルノ、天界人と魔界人が減った理由って知ってる?」っと、先ずはタルノへと尋ねる。
「そりぁ常識ですもん知ってますよ、天魔戦争の影響ですよね?」
「そう、それは知っているのね…じゃぁ光と闇は表裏一体だから光が消えれば闇が、闇が消えれば光が消えるって知ってる?」
「ああ、神族の方を斃すと対となる魔族が同時に斃れ、逆も同じだったって話ですよね。
それが発覚して神魔戦争が終結したと聞いてますけれど?」
「そうなのよねぇ、天界を滅ぼせば魔界も消えるしぃ、魔界が消えると天界も消えるのよ。
ただ光と闇は相容れない存在って考えで反発し合って戦争までになったそうなんだけどね。
実は混沌界から同時に神族と魔族は生まれて、それぞれ天界と魔界へと巣立って行く存在むだったそうよ。
まぁ、お父様の代と私達代には天界生まれがお父様と私のように居るのだけれども、混沌界から生まれる者達は今も居るの。
そしてお父様や私のように天界で生まれた場合、魔界でも対となる存在が生まれているのよねぇ」
この事実は初めて知ったタルノであり、呆気にとられたようにアルスラーナを見ている。
そしてハッっとしたようにアルスラーナへと尋ねる。
「それって…もしかして僕と対になる存在も?」っと。
「恐らくは魔界に居るわ。
けど、どんな存在かは分らないわね、だってお父様とか私と対になる存在も分らないんだもの。
彼方の存在が消滅したら私達も同様に消滅するけど、気にしたても仕方ないことなのよねぇ」っと困ったように告げる。
タルノにとっては衝撃の事実であり、かなり狼狽えている。
そんなタルノへアルスラーナが告げる。
「このことは極秘事項だから話たら駄目だからね☆
そしてねぇ、当然魔界ダンジョンのダンジョンマスターが魔界人っとなった瞬間に天界人が創生されるのよねぇ。
つまり、天界がダンジョンを創らなくても魔界ダンジョン機能で魔界人が生まれれば天界人も生まれるってわけよ。
まぁ、逆も同様なのだけれどね」
その説明を聞いてタルノが不思議に思いアルスラーナへと尋ねる。
「あれ?それだと…天界がダンジョンを創る必要って…」っと。
「そうなのよねぇ、あれって魔界のお偉方からのクレームで始めたことなのよぉ~
なんでも「魔界だけに人員補充を任せるのはけしからん」だってことよ。
なので天界もダンジョンを創って天界人補充しているけれど、それは十分な成果を上げているからダンジョンを増やす必要はないの」
「えっ、でも…アルスラーナ様は?」
「いえね、今度はダンジョンの数についてクレームが付いたのよねぇ。
だから形だけでもダンジョンを増やそうってことにね。
お爺様とお父様は私がダンジョン経営することに反対だったのだけれども、お婆様が「おやりなさい」って。
まぁ、お爺様達はお婆様には逆らえないですものねぇ」
うん、尻に敷かれる最高神ですか…聞きたくなかったです、はい。