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子猫0002

タルノが見付け認識したダンジョンマスターは白い子猫様であった訳だが、当然の如く子猫にダンジョンの運営など行える筈もない。

だが天界作成ダンジョンとは言えダンジョンマスターは倒される相手として認識されるものである。

備えなしにダンジョン開放など行われれば侵入者により討伐されることとなるであろう。

その際には、当然の如くタルノの命も危ういと言える。


「ど、どどど、どうしよう…」っと、オロオロし始めるタルノ、それは仕方ないと言えば仕方ないであろう。

何故ならばダンジョンを運営する権限はダンジョンマスターにしか与えられてはいないからだ。

ナビゲータとして多少の権利は与えられてはいるが、ダンジョンの構築やクリチャーなどの召喚などは行えないのだ。

多少の物資を召喚したりできる他にタルノが行えることはないのである。


「この侭じゃ、僕も子猫マスターも死んじゃうよぉ~」っと泣き顔で落ち込むタルノだが、行えることは限られている。

眠っている子猫の世話と…そう、机の上へと置かれた羊皮紙を読む位しかないのが現状であった。

子猫が眠っている現状では世話の必要は不要と言えよう、故に実質行えるのは羊皮紙を確認するだけだが…


それに気付いたタルノは気を取り直して机へと近付くと羊皮紙を手に取ることに。

「これってさぁ、ダンジョンマスターに対するガイダンスだったよね?」っと、そう呟き声に出して読み始める。

いや、別に黙って読んで頂いても良いと思うのだが…口に出さないと読めないのだろうか?


「え~っとぉ、なになに?

 『おめでとうございます!貴方は厳選たる選別により、この度ダンジョンマスターとしてダンジョンへと招かれました。

  此処のダンジョンへと設置したダンジョンコアは特別製なので喜んで下さいね。

  まずは召喚クリチャー維持コストのマイナス補正ですよ』」

それを読んだ途端、タルノは羊皮紙から視線を外して叫んでしまう。


「なんてトンでもない特典を付けてるんですかぁぁぁっ!」

タルノが仰天するのも無理はない、何故かと言うとだ、ダンジョンへと召喚したクリチャーを維持するためにはダンジョンポイントを消費しなければならない決まりがあるのだが、この特典が適応されれば維持コストで消費されるポイントが消費されるのでなく得られて行くと言う反則的な効果を得られてしまうのである。

つまり反則的な特典でありチートとしか言えないであろう。


そんなタルノの叫びが五月蝿かったのか子猫が反応して軽く目を覚ましたようだ。

まだ寝惚けており半覚醒状態であり、今にも寝そうだが…

【なぅん?】っと鳴くとコテンっと小首を傾げた後で大欠伸を。


それを見たタルノが唖然として見惚れ…

「こ、これが…噂の萌え、そう、萌えって言うヤツなんですね?

 このタルノ、マスター様に忠誠を誓います!」


いや、安い忠誠である。


そんなタルノの忠誠宣言に気付くことも気にすることもなく、子猫マスター様は大欠伸を【クァァッ】っと1つした後で再びご就寝に。

実に自由である、ま、相手は子猫なのだから当然と言えば当然であるが…


子猫マスターが眠りに付いてからも暫し子猫マスターを眺めていたタルノではあるが、気を取り直して再び羊皮紙へと視線を戻すことに成功したようだ。

そして読み進めて行く訳だが…


「『更に更にぃ、消費ポイント百分の一、獲得ポイント百倍も付けちゃいますよぉ~』って!」

思わず叫びそうになるタルノだが、子猫マスターのことを思ってグッっと堪えるのはナビゲータの鏡と言えよう、言えるのか?


弱く低ランクのクリチャーは召喚ポイントは限られており、際弱レベルならば維持コストも掛からない。

だが高ランククリチャーならば召喚コストも高く維持コストも高いものだ。

そんな高ランククリチャーが百分の一のコストで召喚でき、維持コストはマイナスにて維持するためにコストポイントを消費ではなく得られるのだと言う。

この特典を利用すれば大量のポイントを楽に得られる反則技が使い放題となってしまうであろう。

チート過ぎるインチキダンジョンと謗られても言い訳はできないレベルである。

しかも獲得できるポイントが通常の百倍って…最早、無茶苦茶である。


その内容を読んだタルノは「ぜはぁ、ゼハァ」っと荒い息を吐いている。

そして気持ちを落ち着かせたタルノは先を読み進めることにしたようだ。


「『そうね、初期ポイントは1万ポイントってところかしら。

  侵入者が帰ったら撃退ポイントが当然入りますからねぇ。

  まぁ、真っ白な愛らしい子猫様がマスターとして選ばれたのだから当然よね☆』ってぇっ!子猫って知ってるんですかぁぁぁっ!」


思わず我慢できずに声を上げてしまったタルノは、慌てて自分の口を片手手の平で塞ぐ。

左手で羊皮紙を落とさないように持っているが、思わず落とすところだったようだ。


慌てて子猫マスターの様子を伺うが、どうやら起こすことはなかったようでホッとするタルノである。


此処まで読み進めて既に疲れ果てたようなタルノだが、読まなければ先には進めない状態だ。

だから嫌々ながらも羊皮紙の内容を読み進めることに。


「『そしてぇ、最大の特典行くわよぉ~なんとぉ、私こと女神アルスラーナを召喚できるのでしたぁっ!

  ドンドン、パフパフぅ~』ってぇっ!アルスラーナ様ぁっ!何してんですかぁぁぁぁっ!」


堪らず、思わず、絶叫してしまうタルノであった。

いや、本当に何をしてるんだ、この女神様は?

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