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ー 19 ー

「ただいま戻りましたっ!」


 1時間の休憩でご飯を食べたりしつつ連続ログイン制限を解除。このまま徹夜コースいこうか。

 戻ってきて早速師匠の道場に入ると、師匠は胡座をかいて寝ていた。


「...よし。」


 いやさ、さっきは軽くあしらわれたしただ起こすんじゃなくてデコピンして起こすぐらいならいいよね?

 右手の人差し指を左手の人差し指でおさえる。

 そのまま右手の指に力を溜めて...放つっ!


「いったぁぁ!!」


「何やってんだよお前...。」


 痛い痛い痛いぃぃぃぃ!!

 何これ、鉄板打ったみたいに痛いんだけど!?

 目を開けた師匠に尋ねる。


「師匠、なんでそんなにおでこ硬いんですか。石頭なんですか?」


「ちげぇーよ、気だ。人の瞑想を邪魔すんじゃねぇよ...っと。」


「あいたぁぁぁぁ!」


 痛い痛い痛いぃぃぃぃ!!

 やり返されたよっ!

 しかもなんか痛みが尋常じゃないよ!

 デコピンってこんな凄まじい威力になるものなの!?

 っていうか腕の動きがほぼ見えなかったんだけどどういうこと!?


「さて、じゃあお前にはお使いを頼もうと思う。」


 何事もなかったように師匠が続ける。

 くそぅ...、と思っても言ってはいけない。

 一応師匠だしね。さっきデコピンしようとしたことは気にしないけど。


「この街の西と南には森があるんだが、西の方の森である魔物を狩ってきてほしい。」


「魔物、ですか?」


「あぁ、名前はフォレストゴブリン。この時期になると繁殖期に入って毎回大量に増えやがる。それを間引いてきてくれ。」


「ゴブリンですかー、どのくらいやってくればいいんですか?」


「そうだなー、できるだけたくさん。と言いたいところだが、大変だろう。とりあえず100以上だな。」


「1人じゃなくて仲間に手伝ってもらってもいいですか?」


「あぁ、問題ない。だがお前の修行も兼ねているからお前が関わった戦闘で100体以上な。」


「ちっ...。」


 みんなで手分けすれば早く終わると思ったのに。

 まぁ、いいでしょ。


「期限とかはありますか?」


「うーん、まぁ1週間以内ぐらいで頼む。」


「アバウトですねぇー...。まぁ、了解です。」


 明日...というかもう今日リアル1日はシンさんがログインしてこないし、みんなにフレンドメッセージ送っといて手伝ってもらえるか聞いてみよう。

 きっと経験値効率もいいはずだし乗ってくるでしょ。


「よし、じゃあとりあえず今日はこっから稽古をつけてやろう。」


「おぉ!」


 師匠がよっ、と腰をあげる。

 稽古、いったい何をやるんだろう。


「気の使い方についてレクチャーしてやる。付いて来い。」


「はいっ!」





「それで、なんでこんなことに...?」


「こういうものだからな。仕方ない。」


 伝統なんだ、と笑う師匠。


「それにしても...なんで私地面に埋められてるんです?」


 伝統って言ったって初めにやる人がいなきゃこんなことにならないはずなんだけどな...。


「この道場は地脈、あー、大地に流れる気みたいなものの流れの太い場所にある。だから地面に初心者を埋めてそれを体で感じさせるらしい。」


 地脈は、まぁなんとなくわかる。

 らしいってなにさ!

 らしいだけで地面に顔以外の全身埋めるってなに?拷問!?


「まぁ、なんだ。がんばれ。」


「適当ですね!コツとかないんですか!?」


「知らん。考えないで体で感じろ。」


「師匠さいっこうに教師に向いてないですね!」


「俺もそう思ってる。」


 師匠使えねぇぇぇぇ!!




「.........。」


「どうだー、なんか感じられそうかー?」


「.........。」


「おーい!」


「.........。」


「返事しろー。」


「あーもう!うっさいですね師匠!集中できないんで使えない師匠は静かにしててください!!」


「アッハイ。」


 ぁぁぁー......。

 土の感触しか感じない。

 師匠は稽古つけるとか言っといてただ縁側で茶を飲んでるだけだし。

 おまけに声かけて邪魔してくるし。

 とりあえず前みたいに気を自分の中で操作する練習はしてるけど全然上達しないし、地脈に関してはさっぱりだ。

 なんか地面の下の方にすっごい大きな力が流れてるのを感じるぐらい?

 心を無にしてー、体の中にある力的なものをー、ぐーるぐーるー、失敗。

 もう一度ー、ぐーるぐーるー、失敗。


「お前、なにやってんだ?」


「【気功】の練習です。」


「いや、気をいじってるのはわかるんだ。」


 だけどよ、と師匠が続ける。


「なんでもう弄れるようになってんだ!」


「え?」


「お前できないんじゃなかったのか!?」


「え?できませんけど。」


「出来てんじゃねぇか!」


 え、これ出来てるの?

 だってかめ○め波も出来ないし、はぁぁっ!って感じでオーラも出せないよ?

 首を傾げていると師匠がキレ気味に言う。


「そこまで出来てんならこの修行全く意味ねぇじゃねーか...。つか初めの手合わせの時は気だって予想したんじゃなくて普通にわかってたのかクソ...。気付きゃよかった。」


 私をスコップで物凄いスピードで掘り出す師匠。

 すごい腕力だなー...。

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