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ー 12 ー

「それじゃあ、新しくユタも入ったとこで、新生『アイアンハーツ』、早速一狩り行こうか。」


「そ〜しよ〜。」


 無事パーティ『アイアンハーツ』(名前がダサいとか思っちゃいけない、エスさんのネーミング)への加入も完了して早速狩りの話になる。

 シンさんがイキイキとした表情で提案すると、クイちゃんがぷらぷら〜と手をあげて同意する。


「どこに行くんですー?」


 エスさんに決められた愛称がさりげなく早速呼ばれてちょっと嬉しい、けどなるべく無表情に勤めて言う。


「うーん、とりあえず森の方で蜘蛛でも狩りましょうか。」


「そうだのぅ、5人になったし多少数が多い群れでもいけるじゃろ。」


「蜘蛛かー...。」


 蘇る忌まわしい記憶。周囲を埋め尽くす蜘蛛の群れ。

 ぁぁー...、と若干グロッキーになってるとクイちゃんが心配そうに声をかけてくる。


「蜘蛛さん苦手〜?」


「いやー、うん。この前1人で行ったら囲まれてね。危うく死に戻りかけたのよ。」


「そうか、じゃあ5人でお礼参り...って言ったらちょっと変かもしんねぇけどいくかっ。」


「はーい。」


 そんなこんなで初のパーティ戦は蜘蛛狩りに確定した。



 まぁ、蜘蛛狩りといっても道中何も出てこないわけじゃない。

 簡単な連携確認に全員初期装備に変えて火力を落としてみんなで犬数匹と戦ってみたりね。


 やっぱ壁がいると安心感が違うねー。

 多少無理な動きしてもカバーしてくれるし。

 それに後ろから飛んでくる攻撃魔法やバフ、ヒールもありがたい。


「ユタちゃん、強いわねー。」


「まぁ、一応ソロで狩ってた相手だし。」


 感心したようなエスさんの声に最後の1匹にとどめをさしながら返事をする。


「やっぱ敏捷型は動きが早いな。俺とは動きが違うわ。」


「まぁ、仕方のうて。シンは筋力と器用型のビルドじゃろ?」


「そうですよ。シンさんの最低限の回避、見習いたいです。」


 バルさんの言葉に頷く。

 私がステータスやアーツにモノを言わせて余裕を持った回避をするのに対してプレイヤースキルですれすれの回避をするシンさんの技はほんと見事だ。


「こーら、2人とも。あまりおだてると調子にのるからやめなさい。」


「「はーい。」」


 まぁ、エスさんの手前あまり褒められないけど。




「よし、じゃあ今から森に入る。いつも通り周りに警戒しろよー。」


 小休憩の後ついに突入。


「了解(よ、じゃ、〜、!)」


「...お前ら、そこ合わせるなら語尾まで合わせろよ。」


「だが断(るわ、る、る〜、る!)」


「くっそぅ...。」


 うなだれるシンさん。

 私、このパーティに早くも慣れてきた気がする。




「【気配察知】に反応だ。6匹かな、このままいけば鉢合わせる。」


「了解よ、私は詠唱しておくわ。」


 エスさんが詠唱に入る。

 このゲームの魔法は詠唱と呼ばれる待機時間があって、詠唱を終えた呪文は集中を切らさない限り1つストックしておける。

 くるってわかってれば初めっから火力出せるのはいいよね。


「りょ〜かい〜、バフかける〜。」


 クイちゃんのバフも飛んでくる。ありがたい。


「あ、視認できたよ。下には4だけ。きっと上に2かな。」


 私も【狼の目】で確認する。


「了解じゃ。下の4を抑えるから残りの2は2人で処理してくれ。」


「「了解。」」


 じわじわと前進して、あとそろそろで下の4体と接敵するというところで上から2体が降ってきた。


「せいっ!」


「よいしょぉ!」


 でも、予知できてれば造作もない。

 私は槍の穂先で、シンさんは剣の腹でそれぞれ落下してきた蜘蛛を両側に弾く。

 それと同時に突っ込んでくる4体の蜘蛛。


「《タウント》!」


 でもそれはバルさんに強制的に敵愾心(ヘイト)を向けさせられる。

 バルさんが一瞬、だけどしっかりと蜘蛛達を盾で受け止めると、


「《ウィンドボム》!」


 エスさんの魔法がそこに正確にヒット、範囲攻撃の風魔法が蜘蛛を押し返す。


 向こうはバルさんが耐えてくれるはず。

 早くこっちを処理しよう。

 蜘蛛とも結構戦ったから対応はわかってる。

 こっちに突撃してくる蜘蛛に対してまず横に飛んで回避、そしてそのまま体を回して、


「《ニードル》!」


 横っ腹に槍を深々と突き刺す。

 そしてそのまま一歩距離を詰めて、


「せいっ!」


 通称ヤクザキックを叩き込む。

 槍からすっぽ抜けて地面を転がる蜘蛛、それが光になるのを横目で確認しながらバルさんの方に回る。

 シンさんはまだ蜘蛛と戦ってるしエスさんは呪文詠唱中みたいだから今のアタッカーは私1人。


「バルさん!一番右はいるよ!」


「おうよっ!」


 走りこみながら叫ぶ。

 バルさんが合わせて開けてくれたスペースに飛び込んで、そのまま槍を突き込む。


「《ジャンプ》!」


 やっぱ一撃じゃ落とし切らない。

 反撃とばかりに振られた脚を上に跳んで避ける。

 そしてその空きをまたバルさんが埋めてくれる。

 ありがたやー。

 空中で身を捻って木の枝に着地(?)して《ステップ》で蜘蛛達の裏を取るべく再び宙に身を飛ばす。

【軽業】取っといて良かったぁー。

 こういうアクロバットを思った通りにできるのがいいね。

 あ、やば、ちょい着地ずれた。慢心良くない。


「《デュアルステップ》!」


 シンさんも一撃離脱をした模様。

 後ろからHPの大きく減っている2体を確認。


「《ダブルニードル》!」


 それぞれ1発ずつを突き込んで光に散らす。


「2人とも、下がって!」


 エスさんの声に慌てて《ジャンプ》。

 やばい、避けなきゃ殺される。


「《ウィンドバースト》!」


 風属性魔法のlv30スキル。

 《ウィンドボム》の強化版でその威力はなかなか。多分私が食らったら一撃でHPを半分は持ってかれる。


 その一撃で残りの蜘蛛も光に散って特に問題もなく戦闘終了。

 みんなで勝利を喜び、また次の相手を探しに行くのでした。







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