ー 0 ー
典型的なVRMMO物です
こういうの書くのは初めてですけどよければお読みください
フルダイブ型VRMMO、少し昔からライトノベルやネット小説で一つの形として形成されたジャンルであり、夢の未来型ゲーム。
プレイヤーはヘルメットのような機械を頭に被り、自分の感覚をゲームの中へと飛ばし、さながら異世界のようなゲーム世界を遊びまわる。
例えば、銃弾の飛び交う鋼色の世界。
例えば、広大な宇宙で巨大な人型ロボットがぶつかり合う世界。
ただ、もっともポピュラーなのはやはり王道の剣と魔法の幻想的な世界。
世の中のゲーマー達はその世界を夢見て、自分の生きる世の技術の不足に悲しんできた。
だけど、年を経てそのゲームは、現実のものとなった。
世の開発者達の不断の努力により平面ディスプレイのゲームはヘッドマウントディスプレイを使ったVRゲームに、そしてそれはさらにVRの世界へと飛び込めるフルダイブ型のVRゲームに。
そして今日、世界初のVRMMO、『Real Dream Online』のサービスが開始されるまでに至った。
『現実の夢』を冠したタイトルの通り、そのゲームは人々の夢をVRを利用して人々に現実とほぼ遜色ない形で提供する。
従来のRPGのように戦闘に対してターンなどの野暮なシステムは存在せず、
あるいは格闘ゲームのように定型の行動だけしかできないということもない。
一瞬の判断が勝敗に直結し、ひらめきが格上の敵の打倒を可能にする。
ただ、だからと言って全く現実と同じ体のスペックでゴブリンの大群や強大なドラゴンに立ち向かえるわけはない。
だから、数々の創作に違わず様々なスキルによる動作に対するアシストやスキルに付属するアーツ、もしくは呪文と呼ばれる技、そして戦うごとに上がるプレイヤー自身のレベルとステータスがプレイヤーを強くし、強敵との対峙を可能にする。
この世界にはノンプレイヤーキャラクター、NPCも当然存在する。
だが、この世界のNPCは定型句だけを繰り返すシステムではなく、高度なAIを利用した1人の人間とでもいうべき存在である。
だからちゃんとした態度で接しないと当然のように嫌われ、困ったことになるだろう。
そして、物流、経済も当然のように存在し、供給されるアイテムには限界があるし、物価は高騰もするし下落もする。
プレイヤーはただ戦い素材を売るだけでなく、野を駆け素材を集めアイテムを生産することも必要だろう。
安心していい、そのためのスキルもしっかりと設定されている。
戦闘するもよし、生産するもよし、あるいは採取や商売に徹するもよし、セクハラさえしなければナンパをするもよし(フラれないと言っていない)、ただ1人の一般人として街や村で仕事をするもよし。
『Real Dream Online』は何もかもを歓迎する。
「はぁぁぁ〜...。」
そんなことが書いてある公式サイトを何度目かもわからないほど読み返し終わって感嘆の息を吐く。
「いよいよ今日だー!」
両手を振り上げてバンザイ。
今日は待ちに待った『Real Dream Online』、RDOのサービス開始日。
RDOをやるために必要な機械、通称バーチャメットは運営の都合上1万台しか生産されなくてレア度は一級品。
私はそれがかかっているあらゆる懸賞に応募して、残念というか当然というか全てハズレ。
カップ麺1年分とか高性能ケトルとか低反発ベッドとかいらないからバーチャメットが欲しかった。
そんな悲しみに暮れていたところに愛すべき天使のごとき優しさを持つ幼馴染、悠人様から驚きの提案があった。
「懸賞2つ当たっちゃったんだけど1つ使う?」
だけど、のあたりで土下座した。
なんでもするからと学校の教室で思いっきり土下座した。
地面が軽く凹むぐらいの土下座をした。
おでこには軽くたんこぶができて、クラス全体から一瞬変な目で見られたけど、いつものことだからだとスルーされた。
悠人の普段の行いのせいだね、私は悪くない。
そんな訳で私は無事バーチャメットを確保出来て、今は副産物の低反発ベッドの上にしっかりと各種コードを繋げて置いていている。
ちなみに、βテストの情報なんかもネットに上がってるみたいだけど見てない。
理由はなるべく『初めて』を楽しみたいから。
ゲームのためにやったことといえば公式サイトを上から下まで読みつくして、あとはIDとパスワードの登録、自分の身体データのスキャン、それに操作とフルダイブに慣れるための簡易チュートリアルぐらいだね。
さてと、後少しでサービス開始時刻。
サービス開始時は回線が混み合うからなるべく時間をずらしてとか運営に言われてるけど私がそんなこと守るわけがない。
もちろんサービス開始ぴったしにダイブする。
このために寝転んでても見えるように頑張って四角い電波時計を下向きに壁に両面テープとガムテープではっつけた。
一回目に両面テープだけで貼ったら寝てる時に剥がれて落っこちてきてキレながらやり直したのは秘密。
バーチャメットをかぶってベッドに寝転ぶ。
さすが低反発、いくら寝てても体がバキバキにならなそう。
ある意味バーチャメットはどうせ悠人から貰えるんだからこっちを当てて良かったのかもしれないとかどうでもいいことを考えてる間も時計は確実に進んでいく。
残り5、4、3、2、1、
「バーチャルダイブ!」
叫び、そして私はバーチャル世界に飛び込んだ。
今日はあと2話追加で投稿します