6話訓練終わるけど無職
<訓練場>三日目(朝)
今日は自由訓練
要するに魔法でも近接戦闘でも
どちらを練習しても良いわけだ
京介とダナルは戦闘スタイル上近接戦闘を選ぶことにした
まぁ京介は昨日あんなことがあったから
魔法はもうコリゴリなのだろう
京介『それにしても訓練も明日で終わりかー確かにちょっとキツいところもあったけど(主に魔法とか魔法とか魔法とか)意外とアッサリ終わりそうだな』
ダナル『だといいんだけどな』
京介『そういや戦闘実技ってやっぱ模擬戦みたいな感じなのかね?』
ダナル『んーあんときは近接戦闘限定だったけど戦闘実技は魔法も使っても良いことになってたはずなんだけど』
京介『マジかよ…』(魔法とかチートだろ…)
ダナル『まぁ魔法使いと対戦することにならなきゃ大丈夫でしょ。しかもまだあの中にはそこまでの上級魔法使える人もいなさそうだし』
京介『それならいいんだが…』
そんな会話をしながらいつもの教室に到着しまた毎回の様に外に出る
京介(とりあえずどんなやつがいるか観察しとくか…高校時代では人間観察を趣味にしてたぐらいだ…まぁ観察以上の事はできなかったんだけど(涙目))
とりあえず辺りを見渡す京介
やはり基本的に近接戦闘タイプの御方たちは真剣などを装備してるようだ 片手剣や両手剣、レイピアやナイフやメリケンサックのような装備をしてるものもいる
京介(やっぱ木刀じゃ浮くよな…訓練終わったら買おう)
おそらく後衛に回るであろう方達は
杖やメイス中には銃を持っているやつもいた
京介(銃とかありかよ…確かにゲームにもガンマンとかあるけども…銃使いとは闘いたくないな…)
こんな感じで見渡していると
一際目立つ異様な存在のやつがいた
京介(あれは二刀流…!)
黒いコートにフードを深々と被っているので
顔は確認できない
しかも剣の長さは二本とも長剣ぐらいの
リーチがある
なにかよくわからないが凄く強そうだ
京介(あれって…まさかキ●トさんじゃねーよな…んーアイツはヤバそうだから絶対当たりたくねーな…多分五人くらい殺してるよな)
勝手に二刀流の剣士を犯罪者に仕立てあげる
京介
そんなこんなをやってるうちに三日目自由訓練は終了
京介とダナルは食堂に向かうことにした
京介『そーいや今日さ…二刀流の剣士を見たんだよね…』
ダナル『あー知ってたよ』
京介『知り合いなのか?』
ダナル『知り合いとかじゃ無いけど…有名人っていうか…』
京介『やっぱりキ●トさんだったかボソ』
ダナル『え?』
京介『いやなんでもない続けてくれ』
ダナル『まぁ俺も詳しくは知らないんだけど…凄く強いらしいよ!』
京介『え?それだけ…?』
ダナル『んー後はその実力を認められて訓練場卒業後には最強のギルド「狼王の牙」に入ることが決まってるって言われるほどだよ』
京介『ギルドとかもやっぱりあるのか…詳しく聞かせてくれ』
その後食事をしながら
ダナルにギルドのことについて色々教えてもらった
ギルドに入るには
直接ギルドに行くか
スカウトされて入るって形が基本らしい
ギルドによっては招待制のところもあるみたいだ
「狼王の牙」ほどのデカイギルドになると
招待という形でしか入ることは出来ないらしい
訓練場卒業すると色んなギルドが集まって
勧誘しにくるらしい
基本的にはそこでギルドを決めるやつが多いとのこと
もちろん拒否権はある
ダナルにギルドの事を聞きながら
食事を終え
寝室に戻った
明日の訓練に備えて…
<訓練場>最終日(朝)
京介もダナルも集合時間にかなり余裕を
もって準備を終わらせてしまった
二人とも凄く緊張してたせいか起きるのが早かったようだ
これを遠足や修学旅行の時は早く起きれるの法則という
京介『そういやーどうやって対戦相手って決まるのかな』
ダナル『んー向こう側が勝手に決めるんじゃない?』
京介『負けたらどうなるんだ…?』
ダナル『凄く減点されるだろうね』
京介『減点!?点数制だったのか』
ダナル『うん…一定以上の点数をとらないと訓練場は卒業できないよ』
ダナル『しかも京介の場合魔法の点数が0だから下手したら…』
京介『マジかよ…強いやつとは当たりたくねーな…』
(弱いやつコイ!できればダナルとかダナルとかダナルとか)
ダナル『お前いま凄く失礼なこと考えてないか?』
京介『キノセイダヨー』
こんな下らないやり取りをしてたせいか
二人の緊張はすっかり解けていた
そして集合時間になり
集合場所に向かう
教官『えー今日は戦闘実技を行ってもらう』
教官『まぁ対戦相手はこのくじ引きで決めてもらう』
教官が紙が入ってるであろう箱を取り出した
思いの外地味だ…
教官『んじゃ右端の席のやつらから順番に取りにこいよ~』
ぞろぞろと動き出す訓練場生徒達
そしてついに京介の番が来た
箱の中から紙をとると数字が書いてあった
14番
ってことは流れ的に13番のやつと戦うことになるんだろうか
弱いやつならいいが…
京介がどんよりしているとダナルが紙を取って戻ってきた
京介『何番だった?』
ダナル『28番』
京介『チッ』
ダナル『なんだよ!?京介は?』
京介『14番だよ…』
ダナル『んじゃ俺っちが当たることは無いな』
京介『そうだな(ゲッソリ』
教官『はーい静かに』
教官『ではこれから闘技場に向かってもらいます』
教官『あとルールを適当に説明しておく!
「殺すな」以上だ!』
ルールのシンプルさに二人は驚愕した
逆に言えば殺さなければ
腕を切り落とそうが
足を切り捨て様が構わないということだ
これも回復魔法とやらでどうにかなるんだろうか…?
そしてもうひとつ武器のことについては、特に明言されなかったから恐らく自前の武器を使うことになるだろう
木刀で勝てるのだろうか
京介は不安で一杯になった
教官『まぁ気になることは多々あるだろうが安心しろ!死ぬことは無いのだから』
教官『とりあえずお前らみんな付いてこい闘技場に案内する』
闘技場は訓練場の中の施設に組み込まれてるらしい
あくまでこれは訓練用の闘技場であって
正式な闘技場はまた別の所にあるらしいが
歩いて20分ぐらいで到着した
<闘技場>
見たイメージをいうとまんま闘技場って
感じだ…
コロッセオをキレイにした感じだな…
教官『えーでは時間が無いのでさっさと始めるぞ』
教官『番号1番と2番所定の位置につけ!』
最初の二人は斧使いの女と両手剣つかいの
男だった
この世界では男と女も戦わせるのか…
京介はゾッとした
二人が所定の位置につく
教官『ルールはさっきもいった通り「殺すな」だ!しかしこちらが戦闘不能になったと判断した場合すぐに止めに入るからな』
教官『では…始め!』
始まったと同時に両者一気に間合いを詰めた
斧使いの女が大振りの一撃を両手剣使いの
男に降りおろす
両手剣使いの男はそれを防いだが
ぶっ飛ばされていた…
あの華奢な女にそんな腕力があるとは思えない…恐らく肉体強化の魔法的なものを使っているのだろう
両手剣士の体制が崩れたところに
斧使いは斧を横になぎはらい
その一撃は両手剣士をとらえたかと思えたが
両手剣士はギリギリでしゃがんでかわし
しゃがんだ体勢からそのまま下段(足)を斬った
斧使いの膝から下が切断されたのだ
斧使いの女も呻き声をあげている
人間って痛すぎると声がでないのだろうか
いやそれどころじゃない
斧使いの女は恐ろしく出血している
しかもみた感じ斧使いの女は年齢的には
俺より少し下くらいだろう
そんな子を剣で斬るなんて…
この世界は狂ってる
京介は気分が悪くなった
教官が止めに入る
教官『やめ!勝者二番!』
教官『出血がヒドイ!はやく救護班を』
教官がそう言うと奥から白いローブをきた
いかにも回復魔法使いますみたいな人達が出てきた
救護班の人達が斧使いの近くに近づき
ブツブツとなにかを詠唱すると
斧使いの女の切断されたはずの足がくっついたのだ
さすが魔法…なんでもありだな
京介は内心ほっとしていた
教官『おい次!3番と4番入れ!』
京介は次から試合を見るのをやめた…
これ以上みると恐怖に押し潰されてしまいそうだからだ
順調に試合は消化されていき
とうとう京介の番…
教官『13番と14番所定の位置につけ!』
京介は重い足取りで闘技場の中へと入る
いざ入ってみると見学席との景色とは
全然違う
下は砂が敷き詰められているようだ
砂はとってもサラサラしていた
京介が闘技場の情報を集めていると
対戦相手が向こうからやってきた
京介『…嘘だろ…』
見たことがある…忘れられるわけがない
冒険者になるまえにして二刀流を使いこなし
最強のギルド「狼王の牙」にもスカウトされている…あの黒の剣士だ…!
いざ向き合って立ってみるとすごい
迫力だ…
圧倒的な存在感に愕然とする京介…
でもやるしかない!
とりあえず挨拶から…
京介『あ、よ、よろしく』
黒の剣士『…』
京介(シカトかよ!)
教官『ルールはもう何回も説明したから分かってるだろうがとりあえず殺すな死ぬな以上だ』
教官『では始め!』
始まった瞬間一瞬で間合いを詰めてきた
黒の剣士
そして京介の首めがげて剣をフルスイング
なんとかそれを上体を反らしてかわす京介
京介(おいおい…殺さないってルールだよな今明らか首狙って来ただろ!それにしても動きが速いな)
そんな事を考えてる間に次々に剣撃をしかけてくる黒の剣士
なんとかそれをかわす京介
京介(かわすので精一杯だ…この状態はマズイな)
京介は思いっきりバックステップをして
間合いを取る
そして体勢を立て直し一気に京介から仕掛けた
相手を掴んで体勢を崩してやりたいところだが
手をだしてそのまま手をザックリ切られたら
まずい
とりあえず木刀で攻めてみるか
京介はそのまま斬りかかった
だがそれはアッサリ防がれた
片方の剣で受け
もう片方で攻撃する
なんとかその反撃をかわす京介
そしてまた大きくバックステップをして間合いをとる
京介(なるほど…誠実に勝ちに来てるわけか
お堅いスタイルだな…なら!)
またしても京介が仕掛ける
黒の剣士は京介が間合いに入ったのを確認し横に切り払った
それをしゃがんで回避した京介
足に反撃が来るのかと思った黒の剣士は
とっさに下段を防御する
京介(なかなか良い反応だな…だがその良すぎる反応が判断を鈍らせたな…本命はこれだ)
京介はしゃがんだ体勢から砂を手に取り
黒の剣士の顔めがげてかける
要するに砂を使った目潰しだ
黒の剣士はいきなりの出来事に怯んでいる
木刀でなら首を狙っても死にはしないだろうと判断した京介は首筋に向かって思いっきり木刀を振る
黒の剣士は大きく後ろにバックステップして
それをなんとかかわした
京介(嘘だろ…視界は奪われてるはずだ
恐らく念のためにとりあえず間合いをとったに違いない…だがこの攻撃をかわされるのは計算外だった…どうする)
黒の剣士の視界はすぐに戻ったようだ
黒の剣士が凄い勢いで間合いを詰める
早い!最初からかなりの速度だったが
その速度よりかなり早くなっている
京介はギリギリで反撃する
がやはり片方の剣に防がれてしまう
そしてまた大きく間合いをとる京介
京介(ヤバイヤバイヤバイ…このままじゃ負ける)
どうしても手数じゃ負けるし
片方の剣に邪魔されて攻撃は当たらない
一体どうすれば…
京介は考えた
どうすればあれに対抗できるか…
俺も両手に武器を持たなきゃあのスタイルに対抗できそうにない
頭を使え俺!
頭…?
京介はあることを思い付いた
黒の剣士がまた更に間合いを詰め
突きをしてきたそれを木刀でなんとか受ける
横になぎはらいをしゃがんでかわす
しゃがんだ瞬間顔面を蹴っ飛ばされた
三メートルくらい京介は吹っ飛んだ
恐らく肉体強化魔法のおかげだろうな
京介(いってー顔面を蹴っ飛ばされるのはやっぱり痛いな…あのなぎはらいはフェイントだったわけか…お堅いスタイルかと思ってたけど機転が利くのな)
鼻血がボトボトと出てくる…
鼻が折れたかもな…
アドリナリンが出るおかげで痛覚は鈍くなっていた
京介はムクリと立ち上がった
黒の剣士の表情はフードに隠れててあまり
見えないが驚いたのがなんとなくわかった
京介(んじゃ頭使わせてもらいますか弱者の知恵ってやつを教えてやりますか)
一気に間合いを詰める京介
そしてまた木刀で大振りの一撃を上から
黒の剣士に叩きこんだ
もちろん防がれるのは計算通り
だがもう片方の剣は攻撃用だ
防御しないことはわかってる
京介は自分の頭装備(茶色いヘルメットのようなものを)外して手に取り
思いっきりがら空きの側頭部をぶん殴った
さすがに百戦錬磨の黒の剣士様とやらでも
頭の防具でぶん殴られるとは想定できぬまい
もちろんあんな堅いもんで殴られた
黒の剣士はそのまま倒れこんだ
一瞬シーンとなり
教官『そこまで!14番の勝利!』
一気に歓声が聞こえた
ガヤガヤ(あのジャッジメントフレイムがやりがった!)(すげーなジャッジメントフレイム)ザワザワ
変なアダ名で呼ばれてるのが気になるが
悪い気分では無い
そう思う京介だった
黒の剣士に救護班の人達が近付く
そして殴られたところを確認するために
黒の剣士のフードをとった…
どんな顔をしてるんだろうと興味があった
京介は除きこんだ
京介
黒の剣士はなんと女だったのだ
しかもとても可愛らしい顔立ちをしている
黒髪のロングで前髪は短め
ぱっちりとしたお目目に
整っている鼻
とにかくすごい可愛らしいのだ
意識はまだ戻ってないらしい
京介(こんな女の子の頭を思いっきりぶん殴ったなんて俺は最低だ…)
京介は自己嫌悪のあまりそのままぶっ倒れた
そして訓練はなんやかんやで終わりを迎えたのでした
ハイ6話終了です
今回もなんとも言えないグタグタ感でしたが
このグタグタ感が売りなので
ダナル君はあのあと勝ちましたハイ
では謎の美少女黒剣士さんとの絡みは今後あるんでしょうか
ってわけでこれからも京介君頑張るんで
応援宜しくお願い致します